ストレスチェックの対象者を徹底解説!派遣社員や外国人労働者は対象?
ストレス社会と呼ばれる現代において、職場でのメンタルヘルス管理は避けて通れない課題です。
職場でのストレスは、従業員の健康だけでなく、企業全体の生産性や業績にも大きな影響を及ぼします。
2015年に施行されたストレスチェック制度は、企業に対して従業員のメンタルヘルスを測定するための調査を行うことを求める取り組みです。
この制度は、一定の規模以上の企業に対し、従業員を対象に定期的にストレスチェックを行うことを定めています。
従業員の心の健康状態を把握し、必要に応じて適切なフォローアップを行うことで、職場環境の改善につなげるための仕組みです。
しかし、このストレスチェックは具体的にはどのような人が対象者になっているのでしょうか。
この記事では、ストレスチェックの対象者について詳しく解説します。
►そもそも、ストレスチェックの詳細を知りたいという方は次の記事も併せてご覧ください。
目次[非表示]
- 1.ストレスチェックの概要
- 1.1.ストレスチェックとは
- 1.2.ストレスチェック実施の対象となる企業
- 1.3.ストレスチェック実施の対象となる従業員
- 1.4.企業の判断で対象者を拡大する際の基準と考慮点
- 2.【雇用形態別】ストレスチェックの受検対象者
- 3.【勤務状況別】ストレスチェックの受検対象者
- 3.1.在籍出向従業員
- 3.2.海外勤務者(長期出張、現地法人勤務)
- 3.3.休職・育休中の従業員
- 4.【特殊なケース】ストレスチェックの受検対象者
- 4.1.外国人労働者の場合
- 4.2.メンタル不調などで通院中の従業員の場合
- 4.3.新入社員や入社直後の従業員の場合
- 5.ストレスチェックの受検は義務?
- 6.ストレスチェックの意義と効果
- 7.ストレスチェックの実施ならリロクラブにお任せください。
ストレスチェックの概要
対象者が誰なのかを詳しく説明する前に、まずはストレスチェックについて簡単に解説します。
ストレスチェックとは
ストレスチェックは、企業が従業員のメンタルヘルスを把握し、職場環境の改善を図るために実施する調査です。
これは労働安全衛生法に基づき、一定規模以上の企業において義務付けられています。
調査は従業員自身がストレスの自覚症状や職場環境、生活状況などについて回答するアンケート形式です。
調査結果は、個々の従業員の健康管理に役立つだけでなく、職場全体のストレス状況を分析し、必要な対策を講じるための重要なデータとして活用されます。
これにより、職場環境の改善や労働生産性の向上が期待されます。
►ストレスチェックの集団分析の手法については、次の記事をご覧ください。
ストレスチェック実施の対象となる企業
ストレスチェック制度は、従業員が50名以上の事業所に対して実施が義務付けられています。
事業所とは、一つの組織や企業の拠点、または職場として機能する場所を指します。
従業員が49人以下の事業所ではストレスチェックの実施は義務ではありませんが、従業員のメンタルヘルスを維持し、職場環境を改善するために任意で実施することが推奨されています。
企業の規模にかかわらず、従業員のメンタルヘルスを適切に管理することは、組織全体の健全性や生産性を高めるうえで重要と言えるでしょう。
►今後、50人未満の企業でも実施が義務化される予定となります。詳細については、次の記事をご覧ください。
ストレスチェック実施の対象となる従業員
ストレスチェックの対象者は、厚生労働省が発表している資料にて定義されています。
① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)であること。
② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
【出展】「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」(厚生労働省)
この定義からフルタイムで働く従業員以外もストレスチェックの対象者であることがわかります。
しかしこの説明だけでは具体的にどういった人が対象者になっているか判断するのは難しいため、より具体的な対象者は次の見出しで解説します。
企業の判断で対象者を拡大する際の基準と考慮点
企業は法定基準を超えて、ストレスチェックの対象者を拡大することがあります。
これは、特定の部署やプロジェクトチームが特に高いストレスを抱えるリスクがある場合などに実施されます。
拡大の基準は、以下の点が主になります。
- 従業員の業務内容やストレスの程度
- 過去のデータなど
例えば、所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満でも、2分の1以上であればストレスチェックの実施が望ましいとされる場合があります。
また、契約期間が1年未満であっても、契約更新が予定されている場合は対象に含めることが検討されます。
これにより、企業はより広範囲な従業員を対象にストレスチェックを行い、職場全体のメンタルヘルス向上を支援することができます。
【雇用形態別】ストレスチェックの受検対象者
雇用形態 |
ストレスチェック対象 |
正社員 |
●(全員対象) |
契約社員 |
▲(契約期間1年以上、または更新により1年以上) |
派遣社員 |
●(派遣元事業者が実施) |
パート・アルバイト |
▲(契約期間1年以上、または更新で1年以上) |
役員 |
×(対象外) |
※法律に則った纏め表
近年の働き方改革に伴い、従業員のメンタルヘルスがより重要視されるようになりました。
ストレスチェックの実施は法的にも義務付けられていますが、雇用形態によって対象となるかどうかは異なります。
ここでは、正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、そして役員に分けて、ストレスチェックの受検対象者について詳しく解説します。
正社員
正社員はストレスチェックの対象です。
正社員はフルタイムでの勤務かつ高い成果を求められる場面が多くなります。
こうした要因がストレスの蓄積につながりやすく、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性があります。
加えて、正社員のメンタルヘルスは会社全体の生産性に大きく影響を与える要因にもなります。
メンタル不調により集中力の低下や欠勤が増えると、業務の効率やチームの生産性が低下する可能性があるからです。
結果として、会社全体の業績に悪影響を及ぼすことも考えられます。
契約社員
契約社員がストレスチェックの受検対象となるのは、次の1または2の条件に該当する場合になります。
- 契約期間が1年以上
- 契約更新により1年以上の勤務が予定されている場合で、所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上であるケース
契約社員の職場でのストレスを管理することは、個々の健康だけでなく、職場全体のパフォーマンスにも良い影響を与えます。
安定したメンタルヘルスが維持されることにより、契約社員の生産性が向上し、結果として組織全体の業績にも良い影響を及ぼします。
そのため、契約社員へのストレスチェックの実施は、企業にとっても不可欠な取り組みと言えるでしょう。
派遣社員
派遣社員のストレスチェックの実施義務は、派遣元事業者にあります。
派遣社員は実際には派遣先の企業で働いているものの、雇用契約は派遣元事業者との間で結ばれているため、従業員の健康管理は派遣元事業者が責任を負っています。
例えば、派遣元事業者であるA社から、B社へ派遣されている派遣社員のケースを考えてみましょう。
この場合、ストレスチェックの実施はA社が担い、チェックの結果から明らかになったメンタルヘルスのフォローアップもA社が行う必要があります。
パート・アルバイト
パート・アルバイトの従業員については以下の1または2の条件の場合にストレスチェックの対象となります。
- 契約期間が1年以上
- 契約更新によって1年以上の勤務が予定されている場合で、さらに所定労働時間が通常の従業員の4分の3以上である場合
したがって、パート・アルバイトであっても、一定の条件を満たす場合にはストレスチェックを受けることになります。
役員
役員は法的にはストレスチェックの対象外となります。
役員は「使用者」に該当し、一般の従業員とは異なる立場にあるためです。
しかし、ストレスチェックは従業員のメンタルヘルスを改善し、業務効率や成果の向上に貢献する取り組みです。
役員自身の健康維持や組織全体のパフォーマンス向上を考慮すると、状況に応じて役員にもストレスチェックを実施するのが望ましいと言えます。
【勤務状況別】ストレスチェックの受検対象者
勤務状況 |
ストレスチェック対象 |
在籍出向従業員 |
●(出向元企業が実施) |
海外勤務者(長期出張) |
●(日本の労働基準法が適用される場合) |
海外勤務者(現地法人) |
×(対象外) |
休職・育休中従業員 |
×(原則対象外) ▲(復職前に実施する場合あり) |
※法律に則った纏め表
務状況に応じて、ストレスチェックの対象者も異なります。
以下では、在籍出向従業員、海外勤務者、休職・育休中の従業員について詳しく解説します。
在籍出向従業員
在籍出向従業員は、出向元企業がストレスチェックを実施する責任を負います。
出向元企業との労働契約が継続しているため、出向先での業務ストレスも含めて出向元企業が健康管理を行う必要があります。
例えば、A社からB社に出向している従業員の場合、A社がストレスチェックを実施し、B社での業務によるストレス要因も考慮して適切な支援を行うことが求められます。
海外勤務者(長期出張、現地法人勤務)
長期出張者や現地法人で勤務している海外勤務者もストレスチェックの対象となる場合があります。
-
日本の企業からの指示で長期間海外に出張している場合、日本の労働基準法が適用され、ストレスチェックを実施する必要があります。
- これは、海外で働く従業員も日本の企業に所属している限り、企業が健康管理の責任を持つためです。
- これは、海外で働く従業員も日本の企業に所属している限り、企業が健康管理の責任を持つためです。
- 一方、現地法人での勤務者は、日本のストレスチェック制度の対象にはなりません。
休職・育休中の従業員
休職中や育児休暇中の従業員は、一般的にストレスチェックの対象外とされています。
これは、ストレスチェックが主に現在の職場環境におけるストレス状況を評価するために実施されるものであり、一時的に職場から離れている場合、正確な評価が難しいからです。
しかし、休職中の従業員については、復職のタイミングやその後の業務への円滑な復帰を支援するために、企業によってはストレスチェックを行うことがあります。
復職前にストレスチェックを実施することで、従業員が日常業務に適応できるかを確認し、必要な支援が行えるからです。
【特殊なケース】ストレスチェックの受検対象者
ケース |
ストレスチェック対象 |
外国人労働者 |
●(日本国内の企業で勤務している場合) |
メンタル不調で通院中の従業員 |
●(休職していない場合) |
新入社員・入社直後の従業員 |
▲(契約期間・労働時間の条件を満たす場合) |
※法律に則った纏め表
般的な基準以外にも、特殊なケースにおいてストレスチェックの対象者が存在します。
以下では、外国人労働者、メンタル不調で通院中の従業員、新入社員や入社直後の従業員について詳しく解説します。
外国人労働者の場合
外国人労働者が日本国内の企業と労働契約を結んでいる場合、日本の法律に基づいてストレスチェックの対象となります。
たとえ外国籍であっても、日本の企業で業務を行っている限り、ストレスチェックを受ける必要があります。
例えば英語を話す外国籍の方が、日本の東京にある企業で働いているとします。
この場合、彼らは日本の労働条件に基づいて勤務しているため、ストレスチェックの対象となります。
従業員が日本語に不慣れな場合はストレスチェックがスムーズに行えない可能性もあります。
ストレスチェックの文言を理解しやすい言語に置き換えるなどのサポートも行うようにしましょう。
メンタル不調などで通院中の従業員の場合
メンタル不調で通院中の従業員も、休職していなければストレスチェックの対象となります。
雇用契約が継続している限り、企業には従業員の健康管理を行う責任があるためです。
したがってメンタル不調によりカウンセリングを受けながら勤務を継続している社員にも、ストレスチェックを受けるよう促す必要があります。
新入社員や入社直後の従業員の場合
新入社員や入社直後の従業員も、契約期間や労働時間の条件を満たす場合にはストレスチェックの対象となります。
入社して間もない従業員は、職場環境の変化や新しい責任に対する緊張感など様々な要因でメンタルヘルスの不調を感じることがあります。
ストレスチェックを通じてメンタルヘルスの状態を定期的に把握し、必要に応じた支援を受けられる体制を整えることは、従業員の健康を維持し、より良い職場環境を築くために重要です。
新しい環境に馴染むまでの期間はメンタル面の異常が起きていないか、ストレスチェックに加えて日頃から注意深く観察するようにしましょう。
ストレスチェックの受検は義務?
ストレスチェックの実施自体は企業の義務ですが、受検自体は従業員の自由意思に委ねられています。
企業が行うのはストレスチェックが受けられる機会を用意することであって、実際に受検するかどうかは従業員が決めます。
しかしながら、ストレスチェックは従業員にとっても受けるメリットがあります。
ストレスチェックの結果を通して今の自分のメンタルヘルスの状態を客観視できるからです。
病気やケガと異なり、メンタル面の異常は自覚しづらい一面があります。
だからこそ、ストレスチェックを通して自分の状態を確かめることが大切なのです。
ストレスチェックのメリットを従業員に伝え、受検を促すようにしましょう。
►メンタルヘルスに有効な取り組みとそのメリットについては、次の記事で纏めていますので、併せてご一読ください。
ストレスチェックの意義と効果
ストレスチェックは、企業が従業員のメンタルヘルスを守り、職場環境を改善するための手段です。
一部例外はありますが、ほとんどの従業員がストレスチェックを受ける対象者になっています。
したがって、なるべく多くの従業員にストレスチェックを受けてもらうよう周知するのが望ましいです。
ストレスチェックを通してメンタル不調の予防や早期発見が可能となるほか、従業員の健康維持や生産性向上も期待できます。
また、ストレスチェックの結果を基にして対策を考えれば、職場全体の環境改善にもつながります。
ストレスチェック実施をすることになっている対象者は多くいますが、受検するかどうかはその人に委ねられています。企業内でストレスチェックを受けるよう促すようにしましょう。
ストレスチェックの実施ならリロクラブにお任せください。
リロクラブがご提供するストレスチェックでは、4つのメニューで構成されており、各社の課題やニーズにあわせたストレスチェックの実施が可能です。
安価でお手軽な物や高機能なものもご用意しておりますので、まずは、ご相談ください。