働き方改革

企業の安全配慮義務とは?社員の安全と健康を守るためのポイント

企業には従業員を一人でも直接雇用した瞬間から、安全配慮義務があります。安全配慮義務とは従業員の命と健康、経営者の社会的な信用を守るために大切なものです。今回は、安全配慮義務について分かりやすく具体例を交えつつ紹介いたします。

安全配慮義務

2018年06月01日更新

RELO編集部

企業の安全配慮義務とは?

安全配慮義務
企業の安全配慮義務とは、従業員保護のための大切な義務です。従業員が安心して働くための義務で、従業員が安全かつ清潔な労働環境で働くことを目指した義務です。特に労災発生時にこの義務を怠っていれば、損害賠償は数千万円どころでは済まないことが多いです。安全で清潔な職場環境は、企業運営上の最低限の義務であるといえます。

実はあまり知られていないのですが、工場などを抱えていない会社でも安全配慮義務があるということです。労災の発生は機械による労災だけではありません。メンタルヘルスにも及びます。

労働契約法によって定められている

労働契約法によって安全配慮義務は定められています。労働契約法第5条で定められた法律です。

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することが出来るよう、必要な配慮をするものとする

と明記されています。

近年に制定された法律で、労働関係の法律の中では比較的新しい部類の法律となります。近年に明文化されるまでは、判例を参考にして判決を出しており、流動的な扱いでした。明文化されて以降、安全配慮義務違反についてはこの法律によって運用されるようになりました。

注意義務との違い

安全注意義務は安全配慮義務の中に含まれている概念です。安全配慮義務と安全注意義務の違いは、一言でいえば、安全に対して配慮する義務があるという意味と、安全に対して注意する義務があるというだけの違いです。安全配慮義務の一貫として、安全注意義務があります。

安全配慮義務違反にあたるケース

安全配慮義務
過重残業のように過労死ラインを超える残業をさせることや、特に工場の中での労働災害で従業員が怪我をしてしまうような場合には、安全配慮義務違反となります。例えば、設備の安全装置が作動しているかどうかを確認しておらず、現場作業を従業員にさせていて、労災が発生してしまった場合には、安全配慮義務違反となります。

特に設備関係で古い設備を使用している会社は要注意です。労働基準監督署の監督官が重大災害発生時に、設備の状態についてしつこく取り調べを行いますが、安全に関する設備や装置が作動していない状態で労災が発生すれば弁明すらできません。

このため、設備が古い会社の場合では、安全衛生委員会で職場安全パトロール等を行い、チェックシートを記録紙とし、安全衛生委員会の議事録に付属させて残しておきます。資金がないから設備投資できないのであれば、せめてパトロールくらいはしておきましょう。

資金がないという仕方のない事情の場合には、労働基準監督官もある程度は事情を汲んでくれる可能性があります。出来る限り改善に向けて努力していたという姿勢を見せることと、記録を残しておくことが大切です。

安全配慮義務違反の罰則

安全配慮義務
安全配慮義務違反の罰則は金銭的な損害賠償です。昭和50年2月25日の陸上自衛隊八戸車両整備工場事件の判決が判例として最も有名です。国に損害賠償責任が認められました。この判決が安全配慮義務の概念そのものとなっています。

公務員である自衛隊員が整備作業中、バックする自衛隊車両に巻き込まれて死亡しました。簡単にいえば、公務を行っている最中に起こった災害の責任は、雇い主である国家の責任であるという判決が出ました。

結果的には、国と公務員、会社と社員のように社会的な関係を結ぶ当事者間で成立する義務と解釈されており、人を雇用したからには死亡災害のような危険な目に労働者を遭わせないようにするために、雇い主は労働者に対して安心安全な労働環境を提供する義務があるという判決でした。

安全配慮のポイント

安全配慮義務
安全配慮義務違反にならないためには、現在では具体的な解決策が2つあります。従業員数50名未満の事業所であったとしても、安全衛生委員会を運営して、設備点検を行うことと、産業医面談を実施することです。

通常、事業所単位(工場、本社、支社などの単位を事業所単位といいます)で50名を超える事業所でない限りは、安全衛生委員会の設置義務はありません。しかし、設備が古いなどの不利な条件を抱えている企業の場合には、安全衛生委員会を自主的に設置して、労働基準監督署の臨検や監査などに備えておくことが良いです。

また工場以外(事務所)でも安全配慮義務があることを忘れないようにしてください。

事務職でも安全配慮義務はあります!

事務職の在籍する事務所であっても安全配慮義務違反に問われる可能性はあります。特に工場に労働基準監督署が臨検を行うときに、注意が必要です。

工場の方は安全衛生委員会が機能していて臨検に入られても安全衛生委員会の資料等で記録を残していることが多いですが、工場と本社が同じ敷地内にあるような工場の場合、事務所の中も臨検対象です。

事務所の中に危険物を放置していたりしませんか?

事務所の中も、工場と同じレベルの安全管理をしているという体制を労働基準監督官に見せる必要性があります。工場だけでなく事務所の中も、安全衛生体制を確立しておくようにしましょう。余計なところで、是正勧告を受けないように注意するようにしてください。事務方が現場に迷惑をかけるという最悪の形で是正勧告を受けることになります。

長時間残業者に対して、産業医面談の実施をしましょう

長時間残業で特に1ヶ月100時間の過労死ラインを超えた残業を行っている従業員が1人でもいる場合には、必ず月に1回の産業医による面談を強制的に行うようにしましょう。

厳密にいえば産業医面談は、本人が拒否しようと思えば拒否できるのですが、書面で会社から本人に産業医面談を案内したが断ったという記録は絶対に必要なものです。アンケート形式にして、産業医面談を受けるかどうかの意思確認を必ず行うようにしておきましょう。

書面での記録が鉄則です。安全衛生委員会の議事録と共に、ファイリングしておきましょう。臨検が来た時に即座に書類が出せないのであれば、労働基準監督官に怪しまれます。必ず会社側の責任と従業員の責任を、書面を残して明確化するようにしておきましょう。

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