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「まともな人」が突然辞める理由とは?気づきにくい前兆と対策法

真面目で責任感のある従業員が、ある日突然退職を決意してしまう……。
これは多くの企業で見られる問題です。真面目で優秀な人材が辞める理由には、表面には現れない「気付きにくい前兆」が隠されています。
この記事では、真面目で責任感のある従業員が突然辞める理由や前兆を解説し、離職を防ぐための具体的な方法について詳しく紹介します。大切な人材を守るために、職場がどのような取り組みをすべきか、一緒に考えていきましょう。


目次[非表示]

  1. 1.責任感のある人が突然辞めるのに気づきにくい理由
    1. 1.1.周囲を驚かせないため退職直前まで黙っている
    2. 1.2.自分の愚痴をあまり言わない
  2. 2.真面目で責任感のある人が突然辞めるときの前兆
    1. 2.1.仕事を断れずにストレスや業務負担が溜まっていた
    2. 2.2.コミュニケーション頻度が減少している
    3. 2.3.有給休暇を頻繁に使い始める
    4. 2.4.最低限の業務しかこなさない
    5. 2.5.会社のイベントや交流の場への参加を避けるようになる
  3. 3.突然の退職がもたらすリスクと職場への影響
    1. 3.1.人手不足が引き起こす職場の生産性低下
    2. 3.2.代替人材の採用や教育にかかる負担
    3. 3.3.残された従業員への心理的影響と雰囲気の悪化
  4. 4.真面目で責任感のある人が辞めない職場を作るための対策
    1. 4.1.オープンで安心できるコミュニケーションの促進
    2. 4.2.優秀な従業員のキャリアパスを提示する
    3. 4.3.潜在的なストレスを可視化する
  5. 5.従業員が突然辞めないような環境づくりをしよう

責任感のある人が突然辞めるのに気づきにくい理由


真面目で責任感がある従業員の退職は、多くの企業が未然に防ぎたいと考えつつ、実際はなかなか効果的な策が打てていないのが課題です。では、そもそもなぜこうした従業員の退職意向に気づきにくいのか、その理由を探ってみましょう。

周囲を驚かせないため退職直前まで黙っている

真面目で信頼できる従業員から突然退職の報告を受けて、「急に辞めるなんてどうしたのだろう」と思った経験のある人もいるのではないでしょうか。
しかし実際のところ、こういう真面目な従業員は突発的に仕事を辞めるようなことはあまりしません。周囲に気づかれないところで転職活動を進め、全てが終わったタイミングで報告をする傾向が強いのです。
 
真面目で責任感のある従業員ほど、職場に個人的なことを持ち込もうとしない傾向が強いからです。したがって周りに転職のことを相談しようとせず、報告を受けたときには次の職場が決まっていた、といった事態になります。
 
これは真面目な従業員が「最後まで会社や上司に迷惑をかけたくない」という思いが根底にあると推察されます。結果、退職を告げるタイミングも慎重に見極めていることが多いです。基本的には普段通りの態度で仕事をしているので、真面目な従業員から退職の気配のようなものを感じ取るのは困難とされています。
 
真面目な性格の従業員ほど、突然の退職が職場に与える影響を懸念し、波風を立てたくないと考えているケースが多いと推察できます。したがって、退職の意思を伝えるタイミングを逃し、結果的に直前まで黙っていることが多いのです。

自分の愚痴をあまり言わない

真面目で責任感のある従業員は、自分の不満や悩みを周囲に表現することが少ない傾向があります。これは、あらゆる問題を自己責任と捉え、一人で抱え込む性質が強いためです。
 
愚痴を言わない従業員は、問題に直面しても自分で解決しようとする高い自己解決能力や、自分の不満が職場の雰囲気を悪くすることを懸念し、周囲への配慮を大切にする傾向があります。さらに、愚痴を言うことで自分の評価が下がるのではないかと考えるため、不満を表に出さないことが多いのです。
こうした従業員は、不満や悩みを抱えていても、愚痴という形でそれを解消することがありません。そのため、不満やストレスが蓄積されてしまい、最終的には職場への意欲を失い、退職を選んでしまうことがあります。
 
このような状況では、周囲の従業員や上司は彼らが抱える問題の深刻さに気付くことが難しく、対応が遅れる可能性があります。早期に彼らの悩みに気付き、適切なサポートを提供することが重要です。

真面目で責任感のある人が突然辞めるときの前兆

優秀な従業員の突然の退職を防ぐためには、その前兆を見逃さないことが重要です。
ここでは、責任感のある人が退職を考え始める際に現れる典型的なサインについて解説します。

仕事を断れずにストレスや業務負担が溜まっていた

真面目で責任感の強い従業員は、仕事を断ることが苦手な傾向があります。仕事量が増えて、一人で抱えきれない状況は過度な業務負担やストレスの蓄積につながり、最終的に退職を考えるきっかけとなるでしょう。
 
業務の負担が大きくなる要因としては、役割の曖昧さや複数のプロジェクトの締め切りが重なるといった状況が考えられます。また、責任感から定時後も仕事を続けることで残業が増えたり、明確な業務分担がないために多くの仕事を抱え込んだり、期限が密集してプレッシャーが増したりすることも、従業員にとって大きな負担となるでしょう。
 
こうした状況が続けば、慢性的な疲労や睡眠障害、集中力の低下などの問題や、最悪の場合、燃え尽き症候群(バーンアウト)に代表されるような従業員の心身に深刻な影響を与える可能性があります。


コミュニケーション頻度が減少している

退職を考え始めた従業員は、徐々に周囲とのコミュニケーションを減らす傾向があります。この変化は、職場への帰属意識の低下や転職への準備の表れかもしれません。

例えば、

  • 休憩時間や昼食時の雑談が少なくなる
  • 会議での発言が減る
  • 以前のような積極性が見られなくなる
  • 社内で自由に投稿できるチャットなどの投稿や反応が少なくなる

といった変化が挙げられます。これらの行動の変化は、従業員の心理状態や職場への満足度が低下しているサインである可能性があります。

有給休暇を頻繁に使い始める

突然、有給休暇の取得頻度が増加することも、退職の前兆かもしれません。これは、転職活動の準備やストレス解消のために時間を確保している可能性が考えられます。
有給休暇の取得頻度が増加するパターンとしては、長期の休暇を取る頻度が増えるケース、または前日や当日に急な休暇を申請する突発的な取得などが挙げられます。
 
ただし、有給休暇の取得は従業員の正当な権利であり、有給休暇を使う頻度が変化しただけで退職の意思を直接示すとは限りません。有給休暇の取得頻度が増加してきた場合には、休暇後の従業員の様子や、仕事への取り組み方にどのような変化があるか注意して観察する必要があります。

最低限の業務しかこなさない

以前は積極的に仕事に取り組んでいた従業員が、突然最小限の業務しかこなさなくなることがあります。業務への取り組み方が以前と異なり消極的になっている場合は、モチベーションの低下や転職への準備の表れかもしれません。
 
例えば、

  • 新しいアイデアを提案しなくなる
  • 自主的に業務改善に取り組まなくなる

といった変化が挙げられます。さらに、仕事に取り掛かるのが締め切りギリギリになったり、ミーティングでの発言を控えたりする場合もあります。
 
特に、普段から積極的だった従業員がこうした行動を取るようになる場合、従業員が仕事に対して以前ほど意欲を持てず、ストレスの増加やモチベーションの低下が影響していることが考えられます。

会社のイベントや交流の場への参加を避けるようになる

社内イベントや交流会への参加を避けるようになることも、退職を考えている従業員の特徴の1つです。
社内イベントに参加しなくなる理由の1つには、「仕事以外で会社の人と関わりたくない」という心理的な背景が考えられます。このような状態にある従業員は、仕事の時間内での関わりだけで十分と感じており、それ以上に職場の人間関係を深めることに抵抗を持つ場合があります。
 
特に、日々の業務が忙しくて疲労が溜まっている状況では、仕事の外では自分だけの時間を過ごしたいという気持ちがより強くなる傾向にあります。職場の人間関係があまり良好でない場合や、ストレスを感じている状況では、会社の人とプライベートな場で接することでさらに気遣うのを避けたいと考えることも少なくありません。
このような心理が働くと、社内イベントを「楽しい機会」と感じるよりも、「参加することで負担が増える」と感じるようになり、結果として参加を控えるようになります。

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突然の退職がもたらすリスクと職場への影響

優秀な従業員の突然の退職は、企業にとって大きな損失となります。職場全体への影響は非常に大きく、チームの仕事量やほかの従業員にマイナスの影響を与えるリスクがあります。従業員の退職によって生じるリスクや影響について詳しく把握しておくことが重要です。

人手不足が引き起こす職場の生産性低下

突然の退職による人手不足は、チーム全体の生産性に深刻な影響を及ぼします。重要なプロジェクトに影響が出るようなタスクの進捗が遅延したり、残された従業員が追加の仕事を引き受けざるを得なくなったりして業務負担が増えやすくなります。また、経験豊富な従業員がいなくなることでクライアント対応の質が低下し、結果として顧客満足度が下がるといった問題が発生する可能性があります。
 
これらの問題は短期的にはほかの従業員の残業増加やストレスの蓄積を引き起こし、長期的には組織全体の競争力低下につながる恐れがあります。

代替人材の採用や教育にかかる負担

優秀な従業員の突然の退職後、その代替となる人材を採用し、教育することは企業にとって大きな負担となります。新たな人材を採用するまでには、求人広告の出稿や面接を行う必要があり、人材紹介会社を利用する場合には手数料などの採用コストが発生します。新入社員の教育・訓練にかかる時間的コストも膨大です。
 
また、新入社員が十分なパフォーマンスを発揮するまでの間、ほかの従業員が教育やサポートの業務にリソースを割くことになる事態も避けられません。経験豊富な従業員を採用できればこうした時間のコストは抑えられますが、近年の採用市場は競争が激化しているのが現状です。専門性の高い職種や経験者を即戦力として採用することは一層困難になっています。

参考:令和3年度厚生労働省委託調査「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査報告書」

残された従業員への心理的影響と雰囲気の悪化

優秀な従業員の突然の退職は、残された従業員の心理面にも大きな影響を与えます。「なぜ辞めたのか」「次は自分かもしれない」といった不安や動揺が広がることで、チーム全体の士気が下がりモチベーションが低下しやすい状況になります。仕事への意欲が減退する可能性が生じるのです。
このような状況は、会社や上司との信頼関係に影響し、残された従業員も不満や不安を感じやすくなるでしょう。状況によっては残されたほかの従業員が「自分も退職しよう」と考え始めるきっかけとなることもあり、「離職の連鎖」が起こりやすくなります。

真面目で責任感のある人が辞めない職場を作るための対策

優秀な従業員の突然の退職を防ぐためには、働きやすい職場環境の整備が不可欠です。ここでは、真面目で責任感のある人材が長く活躍できる職場づくりのための具体的な対策を紹介します。

オープンで安心できるコミュニケーションの促進

誰もが気軽に話せる職場環境を作ることは、従業員の不満や悩みを早期に察知するために必要となります。従業員とのコミュニケーションは、定期的な1on1ミーティングを実施して上司と部下が対話する機会を設けることや、管理職や上司が気軽に相談や意見を受け付ける姿勢を示す環境を作る、さらには意見を収集するための匿名アンケートを定期的に行うといった取り組みが効果的です。
 また、ビジネスライクな会話だけでなく、雑談や業務外の話題を交えることも、従業員が本音を話しやすい環境を作るために必要となります。日頃からコミュニケーションを図っていれば、従業員は自身の悩みや不満を相談しやすくなります。また、チーム内でのコミュニケーションを活性化させるために、定期的なチームビルディング活動やランチミーティングなどを実施することも良いでしょう。
こうした取り組みは、従業員の本音を引き出し、潜在的な問題を早期に発見・解決することができます。また、チーム内の信頼関係が強化され、より協力的な職場環境が構築されます。

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優秀な従業員のキャリアパスを提示する

真面目で責任感のある従業員が長期的に活躍するためには、明確なキャリアパスを提示することが重要です。従業員が努力すべき道を示してあげることで、モチベーションの維持や向上につながります。
各従業員のスキルや成長を可視化するスキルマップを作成し、定期的に将来のキャリアについて話し合うキャリア面談を行うことも効果的です。
 
特に重要なのは、従業員自身が望むキャリアをしっかりと聞き取り、その希望に沿った成長機会を提供して、長期的な活躍を支援することです。
これにより、従業員は自身の将来像を明確に描き、長期的な視点で仕事に取り組むことができます。

潜在的なストレスを可視化する

優秀な従業員のストレスに早期に気付き、適切に対処することも、突然の退職を防ぐ対策の1つです。従業員のストレスに気付くには、自己診断ツールを活用して期的にストレスチェックを行ったり、カウンセリングサービスの導入や外部専門家との連携によるメンタルヘルスケアを提供したりすることも有効でしょう。また、タスク管理ツールを導入して各従業員の業務負荷を把握するなど、業務量の可視化を行うことも効果的です。
 
ストレスの原因を特定し、それらを解消するためには、業務プロセスの効率化や不要な会議の削減といった施策を講じることも検討する必要があるかもしれません。従業員が健全な職場環境で、安心して働き続けられるよう取り組むことが重要です。

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柔軟な働き方を可能にする職場環境の整備

従業員のライフスタイルに配慮した柔軟な働き方を導入することで、仕事と私生活のバランスが取りやすくなり、長期的な就業意欲の向上につながります。
 
例えば、リモートワークの導入やサテライトオフィスの活用、個々の事情に応じて勤務時間を調整できるフレックスタイム制、育児や介護などの事情を抱える従業員向けの短時間勤務制度などを導入することが効果的です。特に、育児や介護などのプライベートな事情をサポートする施策は、離職防止に大きな効果を発揮します。
 
業務効率化や情報共有を促進するための最新のデジタルツールの導入、コミュニケーションを活性化し柔軟な働き方を支援するフリーアドレスの導入などが、環境改善の例として挙げられます。

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従業員が突然辞めないような環境づくりをしよう

今回は、真面目で責任感のある従業員が突然退職する理由やその前兆、そして退職を防ぐための対策について説明しました。退職の兆候として、ストレスの蓄積やコミュニケーションの減少、有給休暇の頻繁な取得、業務への消極的な姿勢などが挙げられます。これらを見逃すと従業員の離職に留まらず、職場の生産性低下や雰囲気の悪化、人材確保のコスト増大などの問題につながります。
 
真面目な従業員の離職を防ぐためには、日頃からオープンなコミュニケーションを促進し、従業員のキャリアを明確にする支援や、柔軟な働き方を実現する職場環境の構築が重要となります。加えて大切なのは、管理職や上司が従業員の声に耳を傾け、信頼関係を築くことです。従業員の不安やストレスを軽減し職場への満足度を向上させることで、優秀な人材の退職を防ぎ、組織の成長につなげましょう。

RELO総務人事タイムズ編集部
RELO総務人事タイムズ編集部
RELO総務人事タイムス編集部です。 本メディアは、「福利厚生倶楽部」の株式会社リロクラブが運営しています。 「福利厚生倶楽部」の契約社数は23,500社、会員数1,250万人という規模で、業界シェアNo.1を誇ります。 従業員満足を追求する人事や総務、経営者の皆様にとって少しでも有益になる情報を発信していきます。

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