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福利厚生の上限はいくら?福利厚生費の適用が認められるボーダーライン

福利厚生制度を整備する上で、自社にフィットする制度の種類も気になりますが、そのためにかかる費用である福利厚生費の上限はいくらなのかも気になります。

福利厚生制度の充実で労働環境の改善を図れば、必然的に福利厚生費の額は増えます。 ここでは、福利厚生費の上限について確認します。福利厚生費が認められる福利厚生制度の項目や要件を説明し、企業で徹底しておきたい福利厚生に関する社内統制についても触れていますので、参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.福利厚生費の上限はいくら?
  2. 2.福利厚生費の適用が認められるボーダーライン
    1. 2.1.通勤手当(限度額あり)
    2. 2.2.社員旅行(要件あり)
    3. 2.3.食事支給(要件あり)
    4. 2.4.レクリエーション・イベント・親睦会(要件あり)
    5. 2.5.健康診断(要件あり)
    6. 2.6.住宅手当(要件あり)
    7. 2.7.慶弔見舞金(要件あり)
  3. 3.福利厚生費の上限に関する社内統制
    1. 3.1.社内規程への記載を徹底
    2. 3.2.従業員への周知・理解を得ておく
    3. 3.3.源泉徴収との兼ね合いに注意


福利厚生費の上限はいくら?

福利厚生費の上限はいくら? すべての福利厚生項目に対して福利厚生費として計上する金額に上限があるかというと、実質、福利厚生費の上限はありません

中には通勤手当や食事支給のように上限金額や%(パーセンテージ)の定めがあるものもありますが、ほとんどのものに上限はありません。

上限がないからといって、いくらでも際限なく設定が可能というわけではなく、ただ上限規程がないだけです。各項目で、「社会通念上の妥当な金額」は保っておく必要があります。

そうでない場合は、福利厚生費として計上することはできません。また原則として現金支給は給与や交際費などの扱いとなるため、福利厚生費として計上できません。


福利厚生費の適用が認められるボーダーライン

福利厚生費の適用が認められるボーダーライン 福利厚生費は、法定外福利厚生にかかった費用についての経理上の勘定科目です。法で義務付けられている法定福利厚生にかかる費用(法定福利費)と比較すると、法規上の定めがあいまいであることは否めません。

ただ、法定外福利厚生には、一般的な制度項目もあります。それらについては福利厚生制度ごとに、福利厚生費として計上するための限度額、満たすべき要件があるものもあります。 福利厚生費として非課税対象になるか給与や交際費などで課税対象になるかは、自社の法人税の節税対策としてだけでなく、従業員の給与や所得税にも関わってきます。従業員に対して説明が必要になる場面や、従業員から質問を受けることも少なくありません。

福利厚生を従業員や労働環境改善のために有効活用するためにも、限度額や要件の理解を深めておきましょう。 では、福利厚生費の適用が認められる法定外福利厚生項目と、その限度額や要件を紹介していきます。

通勤手当(限度額あり)

役員、正規従業員、パート、アルバイトなど雇用形態に関わらず、通勤手当は福利厚生費の適用が認められています。自宅から職場までの通勤のための費用を現金で支給することになり、原則現金支給を認めない福利厚生としては例外的なものとなります。

一定限度額までは、従業員の所得税も非課税、企業の経理上も福利厚生費の扱い(非課税)です。 非課税限度額については、国税庁が定めています。電車やバス、新幹線、有料道路などの上限は15万円(1ヶ月あたり)です

また、自動車や自転車での通勤については、距離に応じて8段階の限度額があります。 国税庁の定める額を超える分に関しては、給与扱いとなり課税対象になります。

参照:通勤手当の非課税限度額の引上げについて|国税庁

社員旅行(要件あり)

社員旅行を実施する際に、旅行費用を企業が負担するところもあります。社員旅行費用の中で、企業が負担した分については、福利厚生費として計上することが可能です。

ただし、福利厚生費として非課税対象になるためには、以下の要件を満たす必要があります。

    • すべての従業員が参加対象となっていること
    • 参加人数が対象者全体の50%以上であること

※支店ごと、部署ごとの実施であればその人数の50%の参加です。

    • 社員旅行期間が4泊5日以内であること

※海外旅行の場合、現地での滞在日数が4泊5日以内で計算できます。

  • 不参加の従業員に現金支給などがないこと

上記のすべてが満たされていない場合は、社員旅行の費用について福利厚生費として計上することができなくなり、課税対象になります。

参照:従業員レクリエーション旅行や研修旅行|国税庁

■参考記事;社員旅行にメリットや効果はあるのか?社員旅行を実施する際のポイント


食事支給(要件あり)

食事支給の福利厚生制度 従業員に社員食堂などで食事(飲食物の現物)を支給する場合は、かかった費用を福利厚生費として計上することができます。

ただし、現金で支給する場合は、給与扱いになり福利厚生費にはできません。 食事(飲食物の現物)を支給する場合にも、福利厚生費として計上するための要件が定められています。以下の2つの要件を満たしておく必要があります。

  • 従業員が食事代金の50%以上を負担していること
  • 企業側負担が、一人あたり月額3,500円(税抜)以下であること

上記は、通常の勤務時間に支給する食事についての条件です。 残業や宿直などの従業員への食事の現物支給は、全額、福利厚生費として計上できることになっています。

また、深夜勤務の従業員に対し、現物での支給が難しい場合は、1食あたり300円(税抜)までの現金支給は福利厚生費として認められています。この条件を超える額に関しては、給与扱いとなり課税対象になります。

参照:食事を支給したとき|国税庁

■参考記事;福利厚生で人気の食事補助。食事補助のサービスの種類と導入方法


レクリエーション・イベント・親睦会(要件あり)

社内でのレクリエーション、イベント、親睦会などにかかった費用についても、福利厚生費として計上できる場合があります。 忘年会、新年会、歓送迎会、運動会、飲み会、食事会などさまざまなものが考えられます。福利厚生費として計上するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • すべての従業員が参加対象となっていること
  • 金銭支給がないこと
  • 社会通念上、妥当な金額であること(高額すぎないこと)

賞金など金銭を支給したものについては、給与扱いになり福利厚生費にはできません

健康診断(要件あり)

健康診断 健康診断関連にかかった費用についても福利厚生費として計上することができます。定期健康診断、人間ドック、予防接種などでも適用できます。高額でなければ、その他のオプション検査などを加えることも可能です。こちらも、以下の要件を満たしておく必要があります。

  • 従業員全員が受診対象者であること
  • 対象従業員全員に対して企業が費用を負担していること
  • 著しく高額な検診・検査費用でないこと
  • 企業が医療機関に直接支払いを行っていること

従業員全員が対象ですが、例えば人間ドックなどの場合、40歳以上のすべての従業員とすることは可能です。これを踏まえて受診内容を年齢ごとにグループ分けすることも認められています。

従業員に現金を支給して受診してもらう場合には、給与扱いになり福利厚生費にはできません。

■参考記事;健康診断の実施は企業の義務。対象者や検査項目など健康診断の基本を解説!


住宅手当(要件あり)

住宅に関する福利厚生は、福利厚生制度の中でも、比較的企業側の負担額が大きい部類に入ります。住宅手当にはいくつかの種類があり、現金で支給する家賃補助や住宅ローン補助などは福利厚生費としての計上はできず、給与扱いになります

社宅や社員寮などに関しては、家賃を補助する形式ではなく、企業が従業員から家賃を徴収する形式をとると企業にとっても従業員にとっても、節税効果が高まります。企業が家主となる、あるいは家主と契約をして支払業務をおこない、要件を満たせば、企業の負担額は福利厚生費として計上することができます。

そのための要件は、賃貸料相当額の50%以上を従業員から徴収することです。賃貸料相当額は、不動産業者や家主に確認すればわかります。

■参考記事;借り上げ社宅のメリットとデメリット│家賃設定時のポイント
■参考記事;住宅手当は減少傾向。従業員への支給額の相場と企業が廃止する理由


慶弔見舞金(要件あり)

従業員への疾病やケガに対する見舞金、従業員の家族が亡くなったときの香典・花輪、結婚や出産に対する祝い金や贈答品などは、全額、福利厚生費として計上することができます。福利厚生費として計上するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • すべての従業員の慶弔に対し渡されること
  • 社会通念上、妥当な金額

また、福利厚生費として計上するには、あくまで自社従業員が対象の慶弔見舞金のみです。得意先や顧客、取引先などへの慶弔見舞金については、福利厚生費としての計上は認められません。接待交際費として処理する必要があります。


福利厚生費の上限に関する社内統制

福利厚生費の上限に関する社内統制 最後に、福利厚生費に関連することがらをスムーズにするために、社内できちんと整えておくべきことを説明します。

社内規程への記載を徹底

福利厚生費と認められるには、全従業員対象であることが要件のひとつとなります。しかし、慶弔見舞金など個別に発生する福利厚生もあります。公平に付与していることを証明するためには、社内規程への明記が必要です。

従業員への周知・理解を得ておく

それぞれの福利厚生制度にかかる費用が福利厚生費として適切かを見極めるために、証明となる資料(レシートやレポートなど)の提示が求められることもあります。そのようなときにもスムーズに対応できるよう、あらかじめ社内ルールを決めておきましょう。福利厚生を活用する従業員にも理解してもらい、協力体制を整えておくことも大切と考えます。

源泉徴収との兼ね合いに注意

福利厚生費にできず給与支払いとなった場合、企業は源泉所得税を徴収し、納付する義務が発生します。これを怠ってしまうと、のちのちペナルティが課されることになってしまいます。

税申告の際に福利厚生費として計上していたものが認められなかった場合、持ち帰ってから適切に処理する手間もかかります。そうならないためにも、あいまいな部分もありますが、人事、総務、経理担当者は、福利厚生費として認められる項目、限度額や要件をきちんと理解しておくことが大切です。


RELO総務人事タイムズ編集部
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RELO総務人事タイムス編集部です。 本メディアは、「福利厚生倶楽部」の株式会社リロクラブが運営しています。 「福利厚生倶楽部」の契約社数は19,200社、会員数710万人という規模で、業界シェアNo.1を誇ります。 従業員満足を追求する人事や総務、経営者の皆様にとって少しでも有益になる情報を発信していきます。

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