福利厚生の研修制度や経費処理は?詳しい種類と実施方法を徹底解説

 

従業員の満足度を高めて生産性もアップさせるため、研修制度をさらに充実させたいと考える企業は少なくありません。

しかし福利厚生費で研修をどこまでカバーできるのか、研修の内容や実施方法にはどのようなものがあるのか迷ってしまうケースもあるでしょう。

そこで本記事では、福利厚生と研修制度の違いや研修制度の種類や実施方法についてわかりやすく解説します。

研修制度を充実させて活気ある会社を作りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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福利厚生と研修制度の違い

現代の研修は多様化しているため、従業員のニーズに応えつつ、将来役に立つ研修を幅広く用意することが重要です。本章では福利厚生と研修制度の基本的な内容、経理処理について解説します。

福利厚生とは給与以外の報酬のこと

福利厚生とは、給与や賞与以外で従業員やその家族に渡される報酬です。社会保険制度のほか社員食堂、慶弔見舞金制度、イベントやレクリエーションなど、幅広い内容が福利厚生に該当します。

福利厚生は導入が法律で定められている法定福利厚生と、企業が独自に導入する法定外福利厚生にわけられます。

福利厚生の種類 具体例
法定福利厚生 健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険など
法定外福利厚生 食事補助、社員寮、財形貯蓄制度、任意のスキルアップ研修、総合型の福利厚生アウトソーシングサービスなど

従業員の利益になるものであれば、法定外福利厚生はある程度自由に導入可能です。自社の課題や文化に適した法定外福利厚生を導入しましょう。

研修制度とは技術やスキルを身につけるための仕組み

研修制度とは、従業員や役員が仕事を行う上で必要なスキルや知識を身につけるための制度です。効果的な研修を実施することで従業員の能力が上がり、仕事の生産性向上にもつながります。

必要な研修は、業務の内容やポジション、社内の課題に応じて異なります。会社の今後を見据えて慎重に研修内容や実施方法を検討しましょう。

福利厚生で研修費は処理できるのか

会計上、研修費と福利厚生費は異なることから福利厚生で研修費は処理できません。

研修費に含まれるのは、会社の業務上必要となる研修のみです。研修やセミナーと名前のつくものであっても、業務に直接関連しないものについては研修費に含まれません。

一方、従業員のメリットになる研修であれば福利厚生費として処理できます。たとえば任意で参加可能な英会話セミナー、健康セミナーにかかる費用は福利厚生費に該当します。

ただし福利厚生は、すべての従業員やその家族を対象としなければいけません。特定の従業員しか受講できない研修やセミナーは福利厚生費として処理できないため、注意しましょう。

研修制度を充実させるべき理由

研修制度を充実させると、会社も従業員もさまざまなメリットを得られます。ここからは今後の会社や従業員のため、研修制度に力を入れるべき理由を解説します。

能力アップのきっかけになるため

充実した研修制度があれば、企業が従業員の前向きな学習を重視していることが伝わり、スキルアップへの意欲が高まります。定期的に研修を実施することで、従業員の満足度も高まるでしょう。

また、基本的な内容を全員が受講する研修で説明しておけば、さらなる学習へつながります。最終的には従業員のスキルアップが叶い、従業員のキャリアにおいて大きなメリットになるでしょう。従業員の能力向上のためには、研修制度の充実は欠かせません。

コミュニケーションの機会が生まれるため

複数の従業員で協力して行う研修であれば、研修中にコミュニケーションが生まれます。オンラインで行う研修であっても、同じ空間で同じ内容を学べば一体感が醸成されるでしょう。

従業員同士のコミュニケーションが増え、結束感が高まれば業務のやり取りもしやすくなります。またお互いに気兼ねなく相談できることから、課題点の把握も容易になります。

テレワークの導入で従業員同士の交流が減っていると感じる企業は、特に積極的に集合研修を導入するとよいでしょう。


新入社員に重視されているため

昨今の新入社員は、働く上で必要な知識やスキルを身につけられるかどうかを重要視しています。

株式会社リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、新入社員向け研修サービスを受講した方のうち、「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」を重視していると回答した方は49.0%でトップでした。

また仕事をするうえで重視することについて、「成長」と回答した方は28.4%で2位でした。

参考:【調査発表】新入社員意識調査2022|プレスリリース| 人材育成・研修のリクルートマネジメントソリューションズ

調査の結果から、知識やスキルを身につけ成長できる研修制度を用意することは新入社員の獲得に重要といえます。

福利厚生に含まれる代表的な研修制度

企業や従業員の課題に適した研修を導入するには、研修制度の種類について理解することが重要です。

ここからは代表的な研修制度の種類を解説するため、具体的な案を出す前にチェックしてみてください。

階層別研修

階層別研修とは、従業員のポジションに合わせて実施する研修です。具体的には、新入社員研修、管理職向け研修などがあります。実際に階層別研修で行われているプログラムは、次のとおりです。

【新入社員研修の場合】

  • ビジネス文章の作成講座
  • プレゼン力の向上講座

【管理者向け研修の場合】

  • マネジメント力の向上講座
  • 経営目標のKPIの設定方法に関する講座

新入社員研修をはじめとする階層別研修を導入している企業は非常に多くあります。しかしただやっているだけにならないよう、従業員のポジションや経験年数、時代のトレンドに応じて内容を柔軟に調整することが重要です。

スキル研修

スキル研修は、スキルや技術の習得を目的として個別に行う研修です。業務内容に合わせた研修を行い、業務の効率化やスキルアップを目指します。

また、業務上必要であれば、資格取得を目指したスキル研修の導入も検討しましょう。資格があれば業務範囲が広がり、キャリアの選択肢も増えます。適正のある仕事を見極めるチャンスにもなるため、効率的な人材配置を目指すなら積極的に実施しましょう。

コミュニケーション研修

コミュニケーション研修では職場でのやりとりを円滑化するために、コミュニケーションの方法を学びます。話し方だけではなく聞き方を学ぶことで、話し合いがより有意義なものとなるでしょう。

コミュニケーション研修では複数の従業員同士で実際に会話をするため、交流の機会にもなります。従業員同士の連帯感を強めたい場合は、コミュニケーション研修を定期的に実施しましょう。

コンプライアンス研修

ハラスメントが大きな問題となる昨今、コンプライアンス研修も重要です。コンプライアンスとは、会社をはじめとする組織が法令や規則を守ることを指します。SNSが発達している現在、コンプライアンス違反が発覚すれば大きな問題となります。

会社のイメージダウンを避けるため、定期的にコンプライアンス研修を実施しましょう。コンプライアンス研修では、階層ごとに起きがちな問題と対処法を学ぶ形式が一般的です。

どのような問題が実際に起こったのか、他の企業の事例を紹介しながら法令や規則への理解を深めます。

研修の代表的な実施方法

研修の効果は実施方法によって異なります。本章では主な研修を実施方法によってそれぞれ3つに分類し、解説します。

OJT

OJTとは、職場で実際に業務を体験しながら知識や経験を深める研修形式です。実務を経験することでマニュアルだけではわからない知識が身に付くことから、多くの企業で導入されています。

OJT実施のメリットは、次のとおりです。

  • 従業員個人にあわせた柔軟な成長プランが組める
  • さまざまなポジションの従業員同士で交流が生まれる
  • 研修終了後は即戦力として活躍できる

後輩に業務を教えることで既存従業員の成長にもつながるため、積極的に導入していきましょう。

ただし新しく入った従業員が業務知識を全く持っていない場合、既存従業員との間で衝突が発生する恐れがあります。また教える側の負担も大きくなり、業務がうまく回らなくなる可能性もあるでしょう。

OJTを実施する前に、OJTに必要となる基礎的な知識を学べる場を用意してください。

Off-JT

Off-JTとは職場の外で実施される研修のことを指します。日常の業務から離れた状態であればOff-JTに含まれるため、新入社員研修やスキル研修などは幅広くOff-JTといえます。

Off-JTをおこなうメリットは、次のとおりです。

  • 通常の業務から離れ研修やセミナーに集中できる
  • 仕事に必要な知識をまとめて身につけることができる
  • 多数の従業員に対して一気に実施できる

ただしOJTのように実践的に知識を学ぶ機会が得にくく、効果がなかなか見えないケースも少なくありません。Off-JTで研修を実施する際は、長期的な目線で計画を立てることが重要です。

e-ラーニング

e-ラーニングとは、パソコンやタブレットなどの通信機器を用いて行う研修です。オンライン学習と呼ばれることもあり、幅広い分野でe-ラーニングが浸透しています。

e-ラーニングのメリットは、次のとおりです。

  • 場所や時間を問わずどこでも受講できる
  • 受講のハードルが低いため高い参加率が見込める
  • 動画や音声で繰り返し学習できる
  • 広い場所を用意する必要がなく低コストで導入できる
  • 受講の様子をデータで確認できる

動画や音声で学習することで、内容理解のスピードも上がります。オンライン学習に慣れた若い世代が多い場合、e-ラーニングを積極的におこないましょう。

ただしいつでも学習できることからモチベーションの維持が難しく、必要な知識が身につかない可能性もあります。そのため状況に応じ、対面の研修の補助としてe-ラーニングを導入するとよいでしょう。

研修制度の具体的な企業事例

ここからは企業の研修について、具体的な企業の事例を解説します。

ダイキン|情報技術大学

空調事業を展開するダイキンでは、デジタル人材を社内で育成するために「ダイキン情報技術大学」という制度を始めました。「ダイキン情報技術大学」では大学などの教育機関や研究機関から講師を招き、統計学などの基礎知識から、AIを利用した機械学習まで幅広い教育を2年間実施します。

その結果、デジタル技術を用いた現場業務プロセスの改善や新規事業ビジネスモデルの創出などにつながりました。

参考:人材育成 | 人材 | ダイキン工業株式会社

サントリー|森林整備研修

飲料水メーカーのサントリーでは、自然環境の保全を目的として森林整備研修を実施しています。森林整備研修では、グループ会社も含めて約6,000人が枝打ちや植樹などの森林整備活動を実際に体験する取り組みを行いました。

結果、企業理念である「自然との共生」という価値観が深く共有され、環境経営のさらなる推進に役立っています。

参考:サントリー「天然水の森」社員森林整備研修を実施

株式会社イカイ|海外研修

株式会社イカイでは、毎年3泊4日ほど海外で過ごす海外研修が実施されています。現地に到着したあとの綿密なスケジュールは特に組まれておらず、基本自由行動です。

海外という非日常の中で限られた時間を有意義に過ごせるように自ら考え、積極的に行動することが様々な経験につながります。

参考:各種制度、福利厚生|新卒採用情報|採用情報 | 日本一の請負会社を目指す「ものづくり」のイカイグループ

効果的な研修制度の導入ならリロクラブ

どのような内容の研修をどのように導入すればよいのか迷ったら、福利厚生のアウトソーシングサービスを提供するリロクラブにご相談ください。リロクラブでは、現在の社内の課題に合わせた研修やセミナーを柔軟に提案・提供します。

またリロクラブでは、研修以外にも多角的な視点から幅広い福利厚生制度を提供しています。会社の今後につながる福利厚生制度を導入するため、ぜひリロクラブをご活用ください。

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福利厚生の中で従業員に適した研修を行い、会社全体でスキルや能力を高めよう

研修の効果を高めるには、従業員の状況や社内の課題に適したものを選ぶことが重要です。まずは社内の状況を分析し、研修の種類や実施方法について慎重に検討していきましょう。

また福利厚生制度として研修を導入する場合、誰でも気軽に受講できる環境を整えることも重要です。多くの従業員がスキルアップの機会を得られるよう、研修制度を広く周知させてください。

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