
福利厚生とは?種類・メリット・導入手順を基礎から解説【2026年版】
福利厚生とは、企業が従業員(およびその家族)に対して提供する、給与・賞与以外のすべての報酬・サービスの総称です。
年金保険や健康保険といった法律で義務付けられたものから、社宅・食事補助・リフレッシュ休暇など企業が独自に設ける制度まで、多岐にわたります。
なお本記事は、企業向けの福利厚生アウトソーシングサービス「福利厚生倶楽部」を運営する株式会社リロクラブが解説します。
目次[非表示]
- 1.福利厚生とは?
- 2.福利厚生の種類
- 2.1.福利厚生の種類 早見一覧
- 2.2.法定福利厚生とは
- 2.3.法定外福利厚生とは
- 2.4.自社の水準チェックポイント
- 3.法定外福利厚生の代表例一覧
- 3.1.カテゴリー別一覧
- 3.2.従業員が「必要」と感じる福利厚生ランキング
- 3.3.中小企業でも導入しやすい制度
- 4.おすすめの福利厚生は「目的」で選ぶ
- 5.福利厚生を充実させるメリット
- 5.1.企業側のメリット(採用・定着・節税)
- 5.2.従業員側のメリット
- 6.福利厚生を導入する際のデメリット・注意点
- 7.福利厚生の導入手順
- 7.1.自社で設計する場合
- 7.2.代行サービスを活用する場合
- 7.3.導入の5ステップ
- 8.よくある質問(FAQ)
- 9.まとめ
福利厚生とは?

福利厚生には、法律で義務づけられたものと企業が独自に設けるものがあり、その目的や費用の考え方もさまざまです。
ここではまず、福利厚生を整備する「目的」、混同されやすい「給与との違い」、運用にかかる「福利厚生費」の3点から全体像を押さえていきます。
福利厚生の目的
福利厚生を整備する目的は、大きく3つあります。
マイナビ「2025年卒大学生活動実態調査」では、「福利厚生が手厚い」が企業選びの最重視項目に挙げられています。
給与や企業知名度を上回る評価基準として、採用市場で福利厚生の重要性が高まっています。
出典:マイナビキャリアリサーチLab「2025年卒大学生活動実態調査 (4月)」
給与・賃金との違い
給与と福利厚生は混同されやすいですが、労働基準法上の「賃金」には含まれません。
ただ、一律で支給する通勤手当や住宅手当の様に賃金に含まれるケースもあります。
このため、手当の設計と運用実態に合わせた社内規定に注意して、未払いが発生するなどのトラブルにならないように注意することが必要です。
福利厚生費とは
福利厚生費とは、企業が法定・法定外の福利厚生制度の運営に支出する費用のことです。
厚生労働省が発表している「就労条件総合調査」の令和3年度の調査によると、企業が常用労働者1人に対して1か月にかける福利厚生費の平均は55,165円で、内訳は次のとおりです。
法定外福利厚生として企業が独自に投資できる予算は、1人あたり月額5千円前後が一つの目安です。
福利厚生の種類

福利厚生は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類に大別されます。
福利厚生の種類 早見一覧
福利厚生の全体像は、義務の「法定福利厚生(6種類)」と、企業が任意で設ける「法定外福利厚生(10カテゴリー)」に整理できます。
区分 | 種類・カテゴリー | 主な例 |
|---|---|---|
法定福利厚生(義務・6種類) | 健康保険/介護保険/厚生年金保険/雇用保険/労災保険/子ども・子育て拠出金 | 社会保険料の企業負担 |
法定外福利厚生(任意・10カテゴリー) | 住宅/健康・医療/食事/慶弔・災害/育児・介護/自己啓発/休暇/財産形成/レクリエーション/カフェテリアプラン |
それぞれの詳細は以下で解説します。
法定福利厚生とは
法定福利厚生は、法律によって企業に加入・負担が義務付けられた福利厚生です。
従業員を1人でも雇えば、必ず整備しなければなりません。
法定福利費は増加傾向にあり、厚生労働省の調査では2025年の1社平均は3,382万円となっている。
社会保険料率の見直しを背景に、長期的に増加してきた。
出典:日本経済新聞「企業独自の福利厚生費、人材定着へ25年は4.8%増 政府が初調査」
法定外福利厚生とは
法定外福利厚生は、法律の定めを超えて企業が独自に設ける福利厚生です。
内容・水準・対象範囲はすべて会社が自由に設定できます。
主なカテゴリーは住宅・健康・食事・育児介護・自己啓発・休暇・財産形成・レクリエーションなど多岐にわたります。
詳しくは次章の一覧をご参照ください。
自社の水準チェックポイント
法定外福利厚生の水準は企業規模・業種・地域によって異なります。
以下の3点を確認することで、現状を客観的に把握できます。
- 競合他社の採用ページを確認する — 競合企業の求人票・採用サイトに記載された福利厚生と自社を比較する
- 従業員満足度調査を実施する — ES調査やアンケートで「現行制度への不満」「追加してほしい制度」を把握する
- 業界統計と照らし合わせる — 厚生労働省「就労条件総合調査」で業種別の法定外福利費水準を確認する(※労働費用に関する項目は5年ごとの調査。最新は令和3年〔2021年〕調査)
法定外福利厚生の代表例一覧

法定外福利厚生は企業が独自に設定できる制度です。
種類は多岐にわたりますが、大きく10のカテゴリーに整理できます。
自社に合った制度を選ぶ参考として、カテゴリー別の具体例・費用目安をまとめました。
カテゴリー別一覧
主な10カテゴリーの制度例と給付水準の目安を一覧にまとめます。
従業員が「必要」と感じる福利厚生ランキング
制度を選ぶ際は、企業側の都合だけでなく「従業員が本当に求めている制度」を押さえることが欠かせません。
労働政策研究・研修機構(JILPT)が2026年3月に公表した「福利厚生に関する労働者調査」(労働者3,000人を対象、複数回答)では、従業員が「必要だと思う」福利厚生として次の制度が上位に挙がりました。
※出典:労働政策研究・研修機構「福利厚生に関する労働者調査」(JILPT調査シリーズ No.263、2026年3月、n=3,000)。複数回答のため、合計は100%になりません。
健康(人間ドック)・暮らしの安心(慶弔・住宅・食事)・将来への備え(財形)といった、生活に直結する実利的な制度が上位を占めるのが特徴です。
流行のユニークな制度よりも、まず従業員の生活基盤を支える制度から整えることが、満足度向上の近道といえます。
中小企業でも導入しやすい制度
実は、中小企業の福利厚生は大企業に比べて手薄になりがちです。
前掲の労働政策研究・研修機構の調査でも、たとえば「財形貯蓄制度」がある企業は従業員29人以下では13.7%にとどまるのに対し、1,000人以上では34.3%。
「住宅取得のための融資制度」も29人以下で7.1%、1,000人以上で20.1%と、企業規模が小さいほど制度が整っていない実態が確認できます(JILPT調査シリーズ No.263)。
だからこそ中小企業では、「金銭的コストが小さい」「運用の手間がかからない」という2つの軸で、無理なく始められる制度から着手するのが現実的です。
以下は、その2軸を満たし、導入のハードルが低い制度です。
注目すべきは、これらの「導入しやすい制度」が、従業員が求める制度とも重なっている点です。
前掲の労働政策研究・研修機構の調査で従業員のニーズが最も高かった「人間ドック受診の補助」(38.8%・1位)や「食事手当」(31.8%・4位)は、いずれも上の表に含まれます。
つまり、コストと手間を抑えながら、従業員満足度にも直結する——費用対効果の高い制度から始められるということです。
おすすめの福利厚生は「目的」で選ぶ
福利厚生に唯一の正解はなく、自社の課題(目的)によっておすすめの制度は変わります。まずは「何を解決したいか」を起点に選ぶのがおすすめです。
自社の目的 | おすすめの福利厚生 |
|---|---|
採用力を高めたい | 食事補助・住宅補助・カフェテリアプラン(求人でアピールしやすい) |
離職を防ぎ定着させたい | 育児・介護支援、健康支援、リフレッシュ休暇 |
健康経営を進めたい | 人間ドック補助・メンタルヘルス相談・ジム利用補助 |
コストと手間を抑えたい | 福利厚生代行サービス(月額数百円〜で多数のメニュー) |
幅広いニーズに1つで応えたい場合は、多彩なメニューを低コストで提供できる福利厚生代行サービスがおすすめです。
代表的なサービスの選び方・比較は福利厚生代行サービスの比較【人気4社】を、サービス内容は福利厚生倶楽部をご覧ください。
福利厚生を充実させるメリット

福利厚生の充実は、単なる従業員向けのサービスにとどまらず、企業経営そのものにメリットをもたらします。
ここでは企業側・従業員側の双方の視点から、その効果を整理します。
さらに詳しく:福利厚生を導入するメリット・デメリット
企業側のメリット(採用・定着・節税)
① 採用競争力の強化
求職者の企業選びにおいて、福利厚生の充実度は給与水準と並ぶ重要な判断基準です。
マイナビ「2025年卒大学生活動実態調査」でも、「福利厚生が手厚い」は最も重視される項目として挙げられました。
採用コストをかけても定着しなければ効果は半減します。
福利厚生は採用だけでなく、従業員のエンゲージメント・定着率の向上にも継続的に貢献します。
② 定着・離職防止への貢献
育児・介護支援や住宅補助など、従業員の生活に直結する制度は「この会社で長く働きたい」という意識を高めます。
離職率を1%改善するだけでも、採用・教育コストの削減効果は相当額に上ります。
③ 節税効果(条件付き)
法定外福利厚生の費用は、次の3条件を満たす場合に損金算入(経費計上)が認められ、法人税の課税対象から除くことができるケースもあります。
給与と違い、従業員側でも原則非課税で社会保険料の対象にもならないため、同じ支出でも効率よく従業員に還元できます。
- 現物支給であること
- 全従業員が利用できること(特定の人に限定しない)
- 金額が社会通念上妥当であること
従業員側のメリット
給与とは別に非課税で受け取れる実質的な恩恵があります。福利厚生として提供されるサービスは、個人が市場価格で購入するよりも有利な条件で利用できる場合がほとんどです。
福利厚生を導入する際のデメリット・注意点
多くのメリットがある一方で、福利厚生の導入・運用にはコスト・管理の手間・法令対応といった注意点も伴います。
導入後に「こんなはずでは」とならないよう、あらかじめ押さえておきたい3つの課題を解説します。
コストがかかり、非課税の条件も複雑
法定外福利厚生には、当然ながら費用がかかります。
前述の厚生労働省「令和3年就労条件総合調査」によると、法定外福利費は従業員1人あたり月額平均4,882円です。
さらに注意したいのが、税務上の扱いです。
福利厚生にかけた費用を「福利厚生費」として会社の損金に算入でき、かつ従業員の給与として課税されないためには、一般に次のような点を満たす必要があるとされています[※]。
これらを満たさない場合、その費用は従業員への給与とみなされ、課税対象になる可能性が高いです。
- 全従業員が対象であること(役員や特定の人に限定しない/機会の平等性)
- 金額が社会通念上、妥当と認められる範囲であること(金額の妥当性)
- 現金支給ではなく、現物やサービスとして提供されること
なかでも「社会通念上妥当な範囲」は制度ごとに基準が異なり、判断が難しいのが実情です。
例えば、食事補助制度であれば、「①従業員が食事代の半分以上を負担し、かつ②会社負担が月7,500円(税抜)以下」といった条件があります。
これらは、制度ごとに条件が異なり、独自で運用するには、かなり困難になってきます。
[※] 国税庁タックスアンサー No.5261「交際費等と福利厚生費との区分」、No.2508「給与所得となるもの」等に基づく一般的な整理。
個別制度(食事補助・社宅・社員旅行など)ごとに具体的な金額基準が定められている。
管理の手間・形骸化リスク
福利厚生の運用には、制度設計・従業員への周知・利用手続き管理・費用精算など多くの業務が発生します。
特に「導入したものの十分に活用されず、満足につながらない」という形骸化は深刻な問題です。
前掲のJILPT調査(2026年3月)では、勤務先の福利厚生制度に「満足」「やや満足」と答えた従業員はあわせて27.4%と3割弱にとどまりました。
制度があること自体が満足に直結するわけではないことがわかります。
とくに従業員29人以下の企業では満足層が15.6%と低く、「制度を導入して終わり」にせず、使われる工夫を伴わせることが欠かせません。
出典:労働政策研究・研修機構「福利厚生に関する労働者調査」(JILPT調査シリーズ No.263、2026年3月、n=3,000)
形骸化を防ぐには:
- 導入時に従業員説明会を実施し、利用方法を具体的に案内する
- 定期的に利用状況をモニタリングし、ニーズに合わない制度は見直す
- デジタル手続き(アプリ・Webから申請)で利用ハードルを下げる
管理負荷を抑えるには、次章で解説する福利厚生代行サービスの活用が有効です。
公平性の確保(パート・契約社員への適用)
2020年施行の「パートタイム・有期雇用労働法」(同一労働同一賃金)により、正社員と非正規労働者の間で不合理な待遇差を設けることは禁止されています。
また、拠点や勤務地による格差(例:本社のみマッサージルームを設置)も不公平感の原因になります。
全国の従業員が均等に使える制度を選ぶことが重要です。
2026年10月1日、「同一労働同一賃金ガイドライン」が施行後はじめて改正され、待遇差に関する考え方がより具体化されます(退職手当・家族手当・住宅手当など6項目が新たに例示に追加)。
あわせて、パート・有期雇用の従業員に対しては、労働条件通知書などで「正社員との待遇差の内容とその理由について説明を求めることができる」旨を明示することが義務づけられます。
これにより、従業員が自ら待遇差の説明を求めやすくなります。
福利厚生についても、正社員だけが利用できる制度がある場合、その差の理由を合理的に説明できなければ「不合理な待遇差」と受け取られかねません。
福利厚生の導入手順

福利厚生の導入は、「自社で設計する」か「代行サービスを活用する」かで進め方が変わります。それぞれの特徴を確認したうえで、共通する導入の5ステップを見ていきましょう。
自社で設計する場合
自社設計は、住宅手当・家賃補助・慶弔金など金銭補助を主体とした制度に適しています。
メリット: 自社の企業理念や従業員ニーズに合わせた制度を柔軟に設計できる
デメリット: 制度設計・運用・管理コストがすべて自社負担になる。中小企業では担当者の兼務負荷が大きく、継続的な運用が難しくなりやすい
比較的大きな企業では「共済会」(企業と従業員が拠出し合い、福利厚生の財源とする仕組み)などの専門団体を設立するケースもありますが、中小企業には負荷が高く、代行サービスの活用が現実的です。
代行サービスを活用する場合
宿泊・旅行・健康支援・自己啓発・生活支援など、多様なサービスを低コストで提供したい場合に適しています。
メリット:
- 月額数百円〜の費用で数万〜十数万種のサービスを従業員に提供できる
- 入退会管理・利用手続きを委託でき、担当者の業務負荷を大幅削減
- 全国・全拠点の従業員が均等に利用できる(公平性の確保)
自社での管理が難しい多様な福利厚生は、代行サービスへのアウトソーシングが有効です。
代行サービスの選び方・比較については、福利厚生代行サービスの比較【人気4社を徹底比較】 も合わせてご参照ください。
導入の5ステップ
よくある質問(FAQ)
最後に、福利厚生の整備にあたって企業のご担当者からよく寄せられる質問にお答えします。
中小企業・スタートアップでも整備できる?
→ できます。 規模に関わらず、代行サービスを活用することで低コストで多様な制度を整備できます。
月額数百円程度の費用で数万〜十数万種のサービスを従業員に提供できる福利厚生代行サービスは、担当者の管理負荷も抑えられるため、中小企業やスタートアップに特に適しています。
まずはリフレッシュ休暇・資格取得補助など「コストがかからない制度」から始め、段階的に拡充していく方法も有効です。
パート・アルバイトは対象になる?
→ 基本的に対象となります(条件あり)。
2020年施行のパートタイム・有期雇用労働法により、「業務内容や責任の程度が正社員と同等」の場合は、不合理な待遇差は禁止されています。
ただし「勤務時間が短い」「短期雇用」など客観的・合理的な理由がある場合は、差異を設けることも認められています。制度設計の際は、社労士に相談しながら自社基準を就業規則に明文化しましょう。
規程・就業規則にはどう反映する?
→ 就業規則(または別規程)への明文化が必要です。
福利厚生費として経費計上が認められるためには、社内規程として整備されていることが条件に含まれます。
就業規則に記載する際は以下を明確にしてください。
対象者: 正社員のみか、非正規労働者も含むか
利用条件: 勤続年数・申請方法・上限金額など
金額・支給条件: 補助額の上限・支給タイミング
見直しの頻度: 年1回の利用状況レビューと改定手続き
規程が曖昧だと「特定の従業員への利益供与」とみなされ、給与課税の対象になるリスクがあります。
まとめ
福利厚生は、法定福利厚生(義務)と法定外福利厚生(任意) の2種類から成ります。
法律上の最低ラインを整備したうえで、自社の採用課題・定着課題・従業員ニーズに合わせた法定外制度を拡充することが重要です。
この記事のポイントまとめ:
- 福利厚生とは給与・賞与以外の報酬・サービス全般のこと
- 法定福利厚生(社会保険6種)は全企業に義務。月額約50,000円/人が目安
- 法定外福利厚生の費用目安は月額約5,000円/人。住宅・健康・食事・育児など多種多様
- メリットは採用力強化・定着率向上・節税の3つが主軸
- 導入時の課題はコスト・管理負荷・公平性の3点。代行サービスで多くを解消できる
- 導入手順は「目的明確化 → ニーズ把握 → 制度設計 → 規程整備 → 周知・運用」の5ステップ
福利厚生の導入・充実なら、リロクラブにご相談ください
リロクラブには、全国の企業から福利厚生に関する相談が日々寄せられています。
- 採用競合と差別化するために福利厚生を充実させたい
- 現行サービスのコストを見直し、利用率を上げたい
- 管理担当者の業務負荷を下げながら、制度を整備したい
このような課題をお持ちの企業に対して、従業員規模・予算・業種・エリアに合わせた福利厚生制度の設計・導入提案が可能です。
従業員数1名の企業から1,000名以上の大企業まで、幅広く対応しています。



















