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福利厚生の基本を徹底解説|種類・メリット・導入時の注意点とは?

福利厚生とは、企業が従業員に提供する「給料や賞与以外の報酬、サービス」の総称です。

企業にとって福利厚生の充実は採用活動や人材定着にもかかわるため、非常に重要な人事施策といえます。

しかし、企業独自で導入する福利厚生の種類は多岐にわたるため、どのようなものを導入すればいいか迷う方も多いはずです。

本記事では、人気の種類・導入方法やおすすめの代行サービスを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.福利厚生とは?
  2. 2.福利厚生の種類は大きく分けて2種類
    1. 2.1.法定福利厚生
    2. 2.2.法定外福利厚生
  3. 3.福利厚生(法定外福利厚生) のカテゴリー一覧と詳細例
    1. 3.1.食事補助・社員食堂
    2. 3.2.カフェテリアプラン
    3. 3.3.引越し補助
    4. 3.4.健康支援(マッサージ・予防接種)
    5. 3.5.子育て支援
    6. 3.6.ふるさと納税の活用
    7. 3.7.スキルアップ・資格支援
  4. 4.福利厚生で人気の種類と最近のトレンド
    1. 4.1.従業員から人気の福利厚生
    2. 4.2.ユニークな福利厚生例
    3. 4.3.福利厚生費の推移
  5. 5.福利厚生を充実させるメリット
    1. 5.1.採用力の強化
    2. 5.2.従業員のモチベーション向上
    3. 5.3.従業員の満足度アップ
    4. 5.4.企業への定着化、エンゲージメントの向上
    5. 5.5.条件付きで節税効果がある
  6. 6.福利厚生を導入する際のデメリットとその解決策
    1. 6.1.管理負担の増加
    2. 6.2.従業員に不公平感が生まれる
    3. 6.3.費用がかかる
  7. 7.福利厚生の対象者
    1. 7.1.契約社員の福利厚生はどう扱うべきか?
    2. 7.2.パート・アルバイトは対象になる?
    3. 7.3.派遣社員の福利厚生は誰が提供する?
    4. 7.4.個人事業主にも福利厚生はある?
    5. 7.5.スタートアップや中小企業でも制度は整えられる?
    6. 7.6.女性社員が働きやすい職場づくりとは?
    7. 7.7.病院・医療機関で求められる福利厚生とは?
    8. 7.8.役員に福利厚生は適用できるのか?
    9. 7.9.公務員と民間企業での違いは?
  8. 8.福利厚生は定期的な見直しが必要
  9. 9.福利厚生の効果的な導入方法
    1. 9.1.自社で導入、提供する
    2. 9.2.福利厚生代行サービスを利用する
  10. 10.福利厚生導入時の注意点
    1. 10.1.ニーズを把握する
    2. 10.2.従業員に周知する
  11. 11.福利厚生の導入・充実なら、リロクラブにご相談ください
  12. 12.まとめ

福利厚生とは?

福利厚生とは、企業が従業員やその家族に対して提供する報酬やサービスのことです。(※給与や賞与は福利厚生に含まれません。)

たとえば、次のような種類があります。

  • 法定福利厚生:用保険・健康保険、介護保険など

  • 法定外福利厚生企業が保有する保養所を安く従業員に提供する

この様な種類の福利厚生を用意して、企業は他社との差別化を図り、採用市場での競争力を高めたり、今いる従業員に満足してもらったりすることが目的となります。

このあたりの種類や目的メリット等については、後ほど詳細をお伝えさえていただきます。

まずは、福利厚生の対象者を解説します。

福利厚生の種類は大きく分けて2種類

福利厚生の種類は、「法定福利厚生」「法定外福利厚生」の2種類に分類できます。それぞれの違いについて、以下で解説いたします。

法定福利厚生

法定福利厚生とは、法律で義務付けられた」福利厚生です。

法定福利厚生はどの企業にも設けられている最低限の福利厚生制度であり、法定福利厚生がない場合は法律違反となります。

法定福利厚生は、以下の6種類です(社会保険料3種類、労働保険料2種類、子ども・子育て拠出金1種類)。

種類

内容

費用の負担割合

公的な医療保険料。医療費・手当金の一部を負担する。

企業と従業員で折半

介護保険料

介護が必要な高齢者を支援するための保険料。

40歳から64歳までの健康保険の加入者が支払う。

企業と従業員で折半

老後の生活を支えるための保険料。公的年金の一種。

企業と従業員で折半

労働保険の一種。失業給付や育児休業給付など、万が一の時に労働者を守る役割を担う。

企業負担2/3、従業員負担1/3

業務中や通勤中の事故・災害によるケガ及び業務が原因の疾病に対して、補償を行うための保険料。

企業が全額負担

(従業員による負担なし)

児童手当に充てられるほか、仕事と子育の両立支援事業に充てられる税金のこと。

企業が全額負担

(従業員による負担なし)

これらのほか障碍者雇用納付金を納めること、労働基準法に則った災害補償費用を負担することも、法定福利厚生の範囲に含まれます。

法定外福利厚生

法定外福利厚生とは、「法律に関係なく企業が独自に設けられる」福利厚生のことです。

その種類は多種多様で、どのような制度を導入するかは企業の自由です。

福利厚生の目的はどのような形であれ従業員の定着率とモチベーションのアップを図ることであるため、近年では企業理念に沿ったユニークな法定外福利厚生で注目を集める企業もあります。

代表的な項目を紹介します。

  • 住宅 社宅、寮、家賃補助、住宅ローン補助など
  • 健康・医療 人間ドック・スポーツ施設利用費補助など
  • 慶弔・災害 弔慰金、災害見舞金、結婚祝い金など
  • 育児・介護 法律規定の日数や条件以上の待遇を提供など
  • 自己啓発 通信教育の提供・補助、資格取得援助金など
  • 業務・職場環境 社内食堂・カフェの設置、在宅勤務制度など
  • 休暇 アニバーサリー休暇、リフレッシュ休暇など
  • 財産形成 財形貯蓄、持ち株制度、各種年金保険制度など
  • 文化・体育・レクリエーション 懇親会援助、サークル補助など

企業にとっては、従業員の人材確保・定着につながる法定外福利厚生を充実させることで、他社と差別化を図ることが重要なポイントとなります。

福利厚生(法定外福利厚生) のカテゴリー一覧と詳細例

法定外福利厚生のカテゴリーは、大きく分けて9種類

各福利厚生の具体的な内容や、従業員1人あたりの導入費用の目安をまとめました。

種類
福利厚生の具体的な内容例
導入費用の目安
住宅
  • 家賃補助
  • 社員寮の提供
  • 社宅の提供
  • 住宅ローン補助
10,000~20,000円/月額
健康・医療
9,000~10,000円/定期健康診断
  • 結婚祝い金
  • 従業員または配偶者の出産祝い金
  • 従業員の子供の入学
  • 成人に対する祝い金
  • 遺族年金
  • 災害見舞金
  • 従業員や家族の死亡時弔慰金
10,000~50,000円
  • 短時間勤務制度
  • 託児・保育施設の設置
  • ベビーシッター料補助
  • パパ・ママ育休プラス
  • 男性従業員の育児休暇制度充実
500円程度/月額
  • 資格取得支援
  • 受験料補助
  • eラーニングや通信教育の提供及び補助
  • 海外研修・経験制度
  • 図書購入費補助
10,000~30,000円/奨励金の場合
業務・職場環境
  • オフィス内食堂/カフェの設置
  • シエスタ制度/マッサージ利用制度
  • 個室スペースの設置
  • テレワーク導入
  • 従業員間での感謝ポイント/貢献ポイントによるやり取り
実費
  • 法定日数以上の有給休暇
  • リフレッシュ休暇
  • アニバーサリー休暇
  • 生理休暇
  • 失恋休暇
費用負担なし
  • 各種サークル活動の補助
  • ランチ/飲み会の費用補助
  • 運動施設利用の割引/補助
  • 保養施設利用の割引/補助
  • 社員旅行
数百円~数千円/月額
  • 確定拠出年金制度の導入
  • 確定給付企業年金制度の導入
  • 持ち株会の実施
  • 財形貯蓄制度の導入
  • 社内預金制度の導入
1,500円程度/月額
その他
  • 食事補助
3,500円以下 (食事補助の場合)

また、より理解が深まるように、どんな法定外福利厚生の種類があるか、主な例をいくつか挙げていきます。

食事補助・社員食堂

従業員の健康支援やモチベーション向上を目的に、食事補助や社員食堂を導入する企業も少なくありません。

この制度には税制上のメリットもあり、一定の条件を満たすことで非課税扱いとなります。

►詳細については次の記事も併せてご覧ください

福利厚生で人気の食事補助。食事補助のサービスの種類と導入方法

社員食堂は必要か?変わる働き方、変わる福利厚生、変わる社員食堂の意義

カフェテリアプラン

法定外福利厚生の中でも近年注目を集めているのが「カフェテリアプラン」です。

従業員が自ら必要な福利厚生メニューを選択できる柔軟性があり、従業員満足度の向上に寄与します。

導入にあたっては、ポイント設計やメニュー内容の精査が重要です。

►詳細については次の記事も併せてご覧ください「カフェテリアプランとは?メリット・デメリットとおすすめの代行サービス

引越し補助

転勤や新入社員の受け入れに伴い、引越し費用の一部を補助する制度も多く見られます。

対象範囲や金額設定は企業によって異なりますが、居住支援とあわせて活用されるケースが多く、定着率の向上にもつながります。

►詳細については次の記事も併せてご覧ください「福利厚生で引越し費用を補助!メリットや費用相場、注意点を解説

健康支援(マッサージ・予防接種)

健康経営の一環として、職場でのマッサージサービスや予防接種の補助制度を導入する企業も増加しています。

これらの制度は、従業員の健康保持だけでなく、業務効率の改善や欠勤率の低下にも寄与します。

►詳細については次の記事もご覧ください

福利厚生でマッサージや整体を導入する企業が増加。従業員への健康投資

福利厚生でインフルエンザ予防接種はできる?仕訳や実現可能な施策・企業事例をご紹介 

子育て支援

法律を上回る子育て支援制度(例:育休延長、ベビーシッター補助、時短勤務など)は、ワークライフバランスの向上を目指す上で有効です。

特に若年層の人材確保・定着を目指す企業においては、今後ますます重要性が高まる分野です。

►詳細については次の記事もご覧ください「福利厚生における子育て支援の重要性とは?導入事例やメリットを解説

ふるさと納税の活用

最近では「企業型ふるさと納税制度」など、従業員に自治体の特産品やサービスを提供できる制度も登場しています。

福利厚生と地域貢献を同時に実現できる点から、ユニークな制度として注目されています。

►詳細については次の記事もご覧ください。「ふるさと納税は福利厚生に活用できる!メリットやおすすめサービスを紹介

スキルアップ・資格支援

自己啓発やキャリア形成支援として、資格取得費用の補助や外部研修の受講制度を設けている企業も多くあります。

教育支援制度は従業員の生産性向上やエンゲージメント強化にもつながり、長期的な投資価値の高い施策です。

►詳細については次の記事もご覧ください「福利厚生でスキルアップ支援を行うメリット|事例13選

►法定外福利厚生に関する選び方詳細については次の記事もご覧ください「法定外福利厚生の種類とは?選ぶ際のポイントや導入すべき理由まで徹底解説!

福利厚生で人気の種類と最近のトレンド

法定外福利厚生(以下、「福利厚生」)は企業が自由に設定できる制度です。

従業員の満足度アップのためには、従業員のニーズや近年の福利厚生のトレンドを探ることが不可欠です。

企業理念や企業規模、事業内容なども考慮しつつ、ニーズに合った福利厚生を導入しましょう。 実際に従業員に人気のある福利厚生を、アンケートの調査結果をもとに紹介します。

従業員から人気の福利厚生

出典:独立法人 労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査―企業/従業員アンケート調査結果―

2020年の独立法人 労働政策研究・研修機構の調査によると、従業員の必要性が高いと思うアンケート結果では、次の制度・施策が上位となっています。

  1. 人間ドック受診の補助
  2. 慶弔休暇制度
  3. 家賃補助や住宅手当の支給

カテゴリーでみると、次のようなものが多く入っています。

  • 健康サポート
  • 働き方・休暇制度
  • 仕事と病気や育児などの両立支援

こうしたニーズを捉えた福利厚生施策を実施することが、従業員満足度を高める目的などに於いては、非常に重要となります。


ユニークな福利厚生例

近年、福利厚生を使って、他社との差別化や話題を呼んでブランディング、採用に活かすケースも増えてきています。

たとえば、株式会社Dilectaが自動車業界の雇用改革を目指して、退職代行を福利厚生制度の一環として導入することを発表し、話題となっていました。

参考:株式会社Dilecta代表取締役の投稿

その他にも

  • 推し活休暇/推し活手当:ライブ・舞台・握手会など“推し活”のための休暇や補助金
  • ボランティア休暇制度:社会貢献活動のための特別有給休暇(年3日など)

  • ペット看護休暇:ペットの通院・介護などのための特別休暇

このような形で、他社と採用や離職防止で福利厚生を活用して成果を出されている企業様もたくさんいらっしゃいます。

►より詳細な事例について、次の記事も併せてご覧ください「ユニークでアイデア満載な福利厚生を取り入れている企業10選

福利厚生費の推移

福利厚生のトレンド 出典:2019年度福利厚生費調査結果報告

日本経済団体連合会が発表した「2019年度福利厚生費調査結果報告」によると、同年度の企業従業員一人1か月平均の福利厚生費は108,517円と報告されています。

このうち法定福利厚生と法定外福利厚生の内訳は次の通りです。

  • 法定福利費:84,392円
  • 法定"外"福利費:24,125円

全体の70%以上は、法定福利費が占めていることがわかります。

法定福利厚生費は増加傾向

法定福利費は、過去20年のデータと比較すると上昇を続けています

従業員1人あたりの法定福利費は、次のように推移して、20年で約2万円上昇したことがわかります。

  1. 1999年:63,763円
  2. 2009年:71,480円
  3. 2019年:84,392円

子ども・子育て拠出金の引き上げや、健康保険をはじめとする保険料の引き上げを鑑みると、法定福利費は今後も増額し続けるでしょう。 

法定外福利厚生費は横ばい

一方で、法定外福利厚生費は横ばいか、微減の傾向にあります。

従業員1人当たりの一か月平均の法定外福利厚生は次のように推移しています。

  1. 1999年:28,425円
  2. 2009年:25,960円
  3. 2019年:24,125円

法定外福利厚生には、大きなメリットもあり、企業の成長戦略として重要な位置づけにもなります。

他、企業との差別化を図れる部分でもありますので、次の章でまとめるメリットを参照に充実させることを検討してみてください。



次の記事で福利厚生のトレンドについて、まとめていますので、併せてご参考にしてください。
福利厚生のトレンド。福利厚生費からみる、最新のトレンド

福利厚生を充実させるメリット

法定福利厚生に加え、法定外の福利厚生を充実すると以下4つのメリットがあります。

  • 採用力の強化
  • 従業員のモチベーション向上
  • 従業員の満足度アップ
  • 企業への定着化

1つずつ解説します。

採用力の強化

※画像参照元:2025年卒大学生活動実態調査(4月)

求職者が企業を選ぶ際、福利厚生を重視する傾向が強く、それが採用の母集団形成に寄与し、ひいては採用力の強化につながります。

実際に、マイナビが2025年卒の大学生を対象に実施したアンケート調査では、「福利厚生が手厚い」ことが最も重視される項目として挙げられました。

これは、給与や企業の知名度よりも重視される傾向があり、「福利厚生の充実=良い企業」という認識が広まっていることが背景にあると考えられます。

求職者にとって、選考を進める企業の情報は限られています。
そのため、企業規模や知名度だけでなく、福利厚生の充実度が企業を評価する重要な基準の一つとなっているのでしょう。

このように、福利厚生の充実は採用活動に大きく貢献すると言えます。

従業員のモチベーション向上

福利厚生を充実させることで、働きやすい労働環境を整えたり、プライベートの負担を軽減したりすることができ、従業員のモチベーション向上につながります。

次のような形で、従業員が「働きやすい」と感じる環境が整うと、意欲が高まり、一人ひとりの能力を最大限に発揮しやすくなります

  • オフィスにカフェスペースを設置したり、マッサージ利用制度を充実させたりすることで、十分な休息を確保でき、業務への活力につながるでしょう。
  • 清潔でおしゃれなオフィス環境を整えることで、快適に働けるようになり、モチベーションの向上にも寄与します。

さらに、福利厚生の支援によってプライベートの負担を軽減することで、仕事のモチベーション低下要因を取り除くことが可能です。

例えば、次のような補助で経済的な不安が和らぎ、仕事への集中力を高めることができます。

  • 一時保育の補助を提供することで保育園を低コストで利用できる
  • 介護補助金を支給することで介護負担を軽減

このように、福利厚生の充実は従業員のモチベーション向上に大きく貢献します。

従業員の満足度アップ

福利厚生を充実させると、次のような理由から従業員の満足度アップにつながるでしょう。

  • ワークライフバランスを整えられる:残業時間の削減やフレックス制の導入で対応可能
    • 仕事の時間とプライベートの時間を分け、家事や育児、趣味などのプライベートな時間が充実すると従業員の満足度が高まります。
  • 十分な休養が取れる:有給休暇、特別休暇の環境整備することで、満足度向上にも直結します。

企業への定着化、エンゲージメントの向上

自社の課題や従業員のニーズに合わせて福利厚生を充実させると、自社へのエンゲージメントの向上が期待できます。

この理由としては、従業員のことを考えた福利厚生を導入すれば、「従業員の生活や健康などに考慮してくれている」と感じるためでしょう。

実際に、株式会社イトーキさまは、オフィス投資や福利厚生の強化を通じて、エンゲージメントスコアを40%→70%と4年で30ポイント近く向上させることに成功しました。

このように、福利厚生の強化とエンゲージメントは、密接な関係にあり、エンゲージメントを向上させたい企業担当者の方には、非常に大事な施策となります。

株式会社イトーキさまの事例については、まずはこちらの記事をご覧ください。

条件付きで節税効果がある

条件付きで節税効果を期待できることもメリットといえます。

一部の福利厚生費は経費として扱えるため、節税が可能です。

福利厚生費として認められるには、「社内規定としてきちんと定めていること」、「全員が使える施策であること」、「常識の範囲内の適当な金額であること」の3つが必要です。

この要件を満たしていない場合は、福利厚生費として計上が認められません。

ただし、節税するにはさまざまな条件があるため注意が必要です。

福利厚生を導入する際のデメリットとその解決策

福利厚生を充実させることで、従業員の満足度やモチベーション向上が期待できますが、その運用にはいくつかの課題も伴います。

例えば、次のようなことが挙げられます。

  • 管理負担の増加
  • 特定の従業員のみが恩恵を受けることによる不公平感

これらのデメリットが逆効果となり、結果として従業員の不満につながることもあります

ここでは、それぞれの課題とその解決策について詳しく解説します。

管理負担の増加

福利厚生を導入・運用するには、企業の総務部などが企画・運用・管理を行う必要があります。

総務部はすでに株主総会の準備や備品管理、オフィスレイアウトの調整など多岐にわたる業務を担当しており、新たな福利厚生の導入が業務負担の増加につながる可能性があります

また、福利厚生を適切に運用するためには、次のような多くの業務が発生します。

  • 従業員のニーズを把握するための調査
  • それに基づいた福利厚生の企画・導入
  • 利用手続きの管理や費用精算の処理

たとえば、実際に、ある企業では野球観戦チケットを福利厚生の一環として提供していましたが、運用に大きな負担がかかっていました。

チケットの販売タイミングに合わせて抽選を実施し、当選者に配布するという仕組みを採用していましたが、従業員の申し込み数を管理し、調整する業務が煩雑化していたのです。

このように、福利厚生を片手間で運用するのは難しく、管理負担がデメリットとなる場合があります。

こうした負担を軽減する方法として、福利厚生の代行サービスを利用するのも有効です。

従業員に不公平感が生まれる

福利厚生は、内容によっては従業員の間に不公平感を生んでしまい、逆効果となることがあります。

♦特に、ライフステージが異なる従業員がいる企業や、各地に拠点を持つ企業では注意が必要です。

例えば、育児関連の福利厚生を手厚くする場合、育児に関係のない従業員にとっては活用できる制度が限られてしまい、不満につながる可能性があります。

また、地域ごとの格差が生じるケースもあります。

仮に東京本社のみにマッサージルームを設置した場合、地方の拠点で働く従業員は利用できず、不公平感が生まれてしまいます。

このような不公平感をなくすためには、幅広い福利厚生を用意することが重要です。

特に、全国どこでも利用できる福利厚生を導入することで、従業員全員が公平にメリットを享受できる環境を整えることができます。

費用がかかる

最後に、福利厚生の懸念点として挙げられるのは費用がかかることです。

法定福利厚生と法定外福利厚生費を合わせた1カ月の平均額は従業員1人あたり約10万円。

内訳は、法定福利厚生が約8万円、法定外福利厚生が約2万円です。

企業が独自に設定できる法定外福利厚生は約2万円を目処に検討するとよいでしょう。

ただし、法定外福利厚生であっても常識的な範囲のサポートでなくてはいけません。

法律的に金額の上限はありませんが、万が一税務調査で指摘された場合には福利厚生費用として認められないケースがあります。

例として、食事補助のケースを紹介します。

企業負担額が従業員1人につき1ヶ月3,500円以下(税抜き)なら、福利厚生費として計上できます。

しかし、この金額を超えてしまった場合は認められません。

このように福利厚生にはそれぞれ要件が異なるため、導入の際には計上できる限度の確認をしっかり行っておきましょう。

参考:第62回 福利厚生費調査結果報告|一般社団法人 日本経済団体連合会


福利厚生の対象者


福利厚生制度は、正社員だけでなく契約社員やパートタイム労働者、派遣社員、役員、個人事業主まで、幅広い対象者に関連しています。

2020年施行の「パートタイム・有期雇用労働法」により、不合理な待遇差が法律で禁止された今、自社の制度をあらためて点検する必要があります。

ここでは、雇用形態や立場ごとに異なる福利厚生の取り扱いや注意点を解説します。

契約社員の福利厚生はどう扱うべきか?

契約社員(有期雇用労働者)も、正社員と同様に基本的な福利厚生の対象となる必要があります。

特に、休憩室の利用や慶弔休暇の制度などは、待遇差があれば違法となる可能性があります。

詳しくはこちら:

【契約社員の福利厚生とは?】正社員との違いや企業が対応すべきポイント

パート・アルバイトは対象になる?

パートやアルバイトであっても、業務内容や責任に応じて、正社員と同等の福利厚生を受ける権利があります。

法的に求められるだけでなく、定着やエンゲージメント向上にも有効です。

関連解説:

【パート・アルバイトでも福利厚生が利用できる】不合理な待遇差の禁止

派遣社員の福利厚生は誰が提供する?

派遣社員の場合、福利厚生の提供主体は「派遣元企業」です。

ただし、就業先で提供される食堂や休憩スペースなどにおいても、差別的取り扱いは許されません。

ポイントはこちら:

【派遣社員と福利厚生】労働者派遣法の改正によって変わる派遣社員の待遇

個人事業主にも福利厚生はある?

実は、個人事業主でも福利厚生のような支援を導入することができます。

共済制度や外部サービスを活用することで、安心して働ける環境を整えることが可能です。

制度導入のコツはこちら:

【福利厚生は個人加入できる?】選び方・おすすめサービス12選

スタートアップや中小企業でも制度は整えられる?

資金に限りのあるスタートアップや中小企業にとっても、福利厚生の工夫は可能です。

外部サービスを利用したり、柔軟な制度設計を行うことで実現できます。

事例とノウハウ:

【スタートアップ企業で導入すべき福利厚生】具体例とメリットを解説

【中小企業でも福利厚生を充実できる!】おすすめ施策と外部サービス紹介

女性社員が働きやすい職場づくりとは?

女性のキャリア継続を支えるためには、育児支援やフレックス制度、メンタルケアなど、多角的な福利厚生の充実が不可欠です。

制度のヒント:

【女性が働きやすい福利厚生】おすすめ制度や人気企業ランキングを紹介

病院・医療機関で求められる福利厚生とは?

看護師や医師など医療従事者に向けた福利厚生は、深夜勤務やハードワークに対応できるよう、特に健康支援や託児施設などの制度が重視されます。

業界特化の事例:

【病院が用意すべき福利厚生16種類】看護師・医師に向けたポイントも解説

役員に福利厚生は適用できるのか?

役員への福利厚生は、従業員とは適用条件が異なり、税制や制度面での注意が必要です。経費処理と非課税要件に注意して制度設計を行いましょう。

詳細解説:

【役員に福利厚生は存在しない?】迷いやすいポイントを解説

公務員と民間企業での違いは?

公務員の福利厚生は、法律や地方公務員法に基づくものであり、手当や休暇、年金制度に明確な違いがあります。制度設計の参考としても有用です。

比較記事はこちら:

【公務員の福利厚生とは?】民間企業との違い、手当・休暇・年金制度を解説

福利厚生は定期的な見直しが必要

福利厚生マトリクス

現在、世の中の変化が激しく、福利厚生制度の見直しも定期的に行うことが求められています。

たとえば、リモートワークが主流の会社では、通勤手当や社員食堂などが不要になってくる一方で、リモートワーク手当などが求められたりします。

さらに、未婚世帯などの増加により、扶養手当すらも不平等を巻き起こす要因となる福利厚生となってきております。

そのため、地方拠点、老若男女に活用される多種多様な福利厚生を用意することが求められています。

その解決策として、誰でも平等に、使える福利厚生のパッケージサービスというのは、注目を集めていて、導入企業様も各社増加傾向にあります。

►このパッケージサービス、アウトソーシングサービスについては、次の記事も併せてご覧ください「福利厚生のアウトソーシングとは?導入するメリットやおすすめの制度を紹介

福利厚生の効果的な導入方法

まず、福利厚生の導入方法は大きく以下の2種類に分類できます。

  • 自社で導入、提供する
  • 福利厚生の導入代行サービスを利用する

それぞれの特徴を紹介します。

自社で導入、提供する

次のような金銭的補助を目的とした福利厚生は自社で導入しやすい傾向にあります。

  • 住宅手当
  • 家賃補助
  • 交通費
  • 家族手当
  • お祝い金 など

比較的大きな企業では、「共済会」を自社で設立して財源を確保し、各種金銭補助を提供しています。

共済会とは?

企業と従業員がお金を出し合い、福利厚生運営の財源とするシステムが「共済会」です。

あくまで自社内で行う取り組みであるため、財源に限りがあります。

従業員の満足度が高い福利厚生の提供を共済会で実現しようとすると多くの費用がかかるため、共済会による福利厚生の運営は大企業に向いています

中小企業が従業員満足度の高い福利厚生の導入を検討する場合は、共済会よりも福利厚生代行サービスの利用をおすすめします。

記事の最後に、福利厚生代行サービスのおすすめ4社を紹介しますのでぜひご覧ください。

福利厚生代行サービスを利用する

福利厚生の導入を、代行サービスへ委託する方法です。

代行サービスの利用がとくに向いている福利厚生は、以下のとおりです。

  • 宿泊・旅行
  • 疾病予防・健康増進
  • 自己啓発
  • 生活支援
  • エンタメ
  • 財産形成
  • スポーツ活動支援
  • 育児・介護支援

自社での導入が難しい福利厚生は、福利厚生代行サービスへのアウトソーシングをおすすめします。

►代行サービスの詳細に関しては次の記事をご覧ください「福利厚生のアウトソーシングとは?導入するメリットやおすすめの制度を紹介


▼リロクラブでは、約12万コンテンツ320万種の福利厚生サービスを提供しています。
この内容については、次の資料で詳細が確認できます。

福利厚生導入時の注意点

自社で直接提供する場合でも、福利厚生の代行サービスを利用する場合でも、従業員満足度を高め、効果を最大化するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。

ここでは、福利厚生を導入・運用する際の注意点について解説します。

ニーズを把握する

福利厚生を導入する際は、担当者や経営層の感覚や好みだけで決めるのではなく、従業員の声を反映することが重要です。

そのためには、アンケート調査などを実施し、実際のニーズを把握することが欠かせません。

従業員のニーズを把握しないと、効果のない福利厚生制度になってしまう可能性があります。

例えば、社内に社員食堂を設置したり、朝食を提供したりする福利厚生を導入しても、リモートワークの従業員が多い企業では十分に活用されず、期待する効果を得られないことがあります。

このように、従業員が必要としている福利厚生を把握することが、導入時の重要なポイントとなります。

従業員に周知する

福利厚生は「使われること」で初めて従業員満足度向上につながります

しかし、実際には「福利厚生代行サービスを導入したものの、従業員にあまり利用されていない」というケースが少なくありません。

導入しただけで終わるのではなく、社内向けに積極的に利用促進を行うことが重要です。

  • どのようなサービスが利用できるのか
  • どのように手続きすれば利用できるのか

こうした情報をしっかりと説明しないと、従業員が福利厚生を活用する機会を逃してしまいます。

中には、企業の従業員が福利厚生代行サービスの存在自体を知らないというケースもあります。


リロクラブでは、このような状況を防ぐために、利用説明を実施したり、サービス情報を掲載した紙の会報誌を全国各地に配布しています。

Web版の情報提供もありますが、紙媒体を活用することで視認性を高め、幅広い年代の従業員に周知することが可能です。

このように、リロクラブでは、ご担当者さまの負担を軽減しながら、従業員に福利厚生の情報をしっかりと届けるサポートを行っています

少しでも気になる方は、まずはサービス資料をダウンロードして、ご一読ください。

福利厚生の導入・充実なら、リロクラブにご相談ください

福利厚生の代行サービスを手掛けるリロクラブには、毎日全国のさまざまな企業から福利厚生に関する相談・問い合わせが寄せられています。

お問い合わせ一例

  • 「福利厚生倶楽部」の料金と内容が知りた(従業員数1名の東京都の企業より)
  • 会社周辺で利用できる施設がどの程度あるのか、また割引の程度はどれくらいか知りたい(従業員数10名、福岡県、表取締役より)
  • 子育て支援の福利厚生の導入を検討。詳しい話が聞きたい(従業員数65名、東京都、管理部より)
  • 人事制度改定を検討。あわせて福利厚生施策の再構築も検討。意見交換とお見積りを(従業員数2,500名、神奈川県、人事部より)

など 従業員数1名の企業から1,000名以上の企業まで

リロクラブなら、従業員数・予算・エリア・課題等に応じて、 豊富な経験や幅広い事例をもとに効果的な福利厚生制度の構築提案が可能です。

ぜひこの機会に福利厚生制度の導入・充実・見直しを検討してみてください。

「福利厚生倶楽部」詳細はこちら

まとめ

福利厚生は、有給休暇や特別休暇などワークライフバランスが取れるものから、人間ドック受診費用の補助といった健康管理ができるもの、家賃補助など普段の生活をサポートするものまで、さまざまです。

多種多様な福利厚生があるため、どのように選択して運用し、効果を出せばいいのかわからない方が多いのが現状です。

そこでおすすめしたいのが、福利厚生代行サービスの活用です。

低コストで福利厚生の仕組みが導入できたり、福利厚生に関するサポートをしてくれたりなど多くのメリットがあります。ぜひ導入を検討してみてください。

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RELO総務人事タイムズ編集部
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